本研究は,長期的な計画の下,Web上に存在する膨大なニュース記事群から小学校高学年の児童が授業内容や個人の興味等に基づいて自由にニュース記事を探したり,読んだり,調べたりできるNIE支援システムを構築するため,各種の基盤技術の実装とそれらを利用した支援システムの開発を目的としている.開発を目指す支援システムは,記事選択・検索・推薦機能,読解支援機能,調べ学習支援機能等で構成される. H27年度は,記事選択・検索・推薦機能として,H26年度から研究を進めている,SNSで注目されているニュース記事,子供向けポータルサイトから収集した検索クエリログ等を利用して,児童が興味をもつ可能性のあるニュース記事をランキングして提示する手法の改良,評価を行った.また,ニュース記事を地図上に配置し,場所情報等から視覚的に記事を選択できるインタフェースの開発を継続するとともに,地図学習支援の機能について検討を行った.読解支援については,子供向けの言い換え知識の量的問題を改善するため,Web上の存在する子供向けに記述されたページを収集し,子供Webコーパスを構築することを検討した.手がかり語やテキストの難易度,Support Vector Machineなどを利用し,子供向けのWebページを判定する手法について検討を進めた.読解支援,調べ学習支援に共通する研究として,ニュース記事を補足する諸情報をWeb上から収集して提示するフレームワークについて検討した. これらの研究成果は,2件の学術論文と2件の国際会議論文,6件の口頭発表として学会発表し,提案手法の有用性と課題について整理した.今後も本研究を継続し,NIE支援システムの実現を目指す.
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