本研究の骨子は伝統工芸従事者のため、立体視、3D コピーによる実物模型等高度なデジタル技術により職人の技術・感性を数値化・可視化することで技能習得の期間短縮を目指すことである。国内伝統工芸の衰退の原因として、後継者不足問題があげられる、そこで、本研究では、デジタル技術を活用し、伝統工芸職人の作業工程を職人視点による立体視映像や3D スキャナによる分析・データベース化、3D プリンタによる実物模型化を行い、それをもとに、今までの技能伝承における「あいまいさ」「暗黙知」を「形式知」として提供し、職人希望者と師匠の伝承を補完する教材制作の研究を行った。 25年度研究においてはコンテンツ開発の実体に即した機器の導入と、資料収集、視察にあてた。3Dレーザスキャンニングによる実物測定及び3Dプリンタによる立体物成形のプロセスと最適化のワークフローを専門機関、プロダクションを訪問し検討した。 26年度研究においては、職人視点による立体視作業映像の収録、作業途中の実物を3D 模型化を行った。作業経過の映像サンプリングと同時に、それを形づくる人間の手や指の運びの軌跡も同時に立体視撮影し、さらに教材として重要な工程毎に要諦の言語化を並行して行った。同時に重要なポイント毎に制作物の3D レーザスキャンニングを行うことにより、ロクロ作業で重要な変形状態、乾燥時の収縮状態を記録した。 27年度は、このデータを基に3D プリンタで実物模型を作成し、成形経過を皮膚感覚で確認できる教材のサンプルが作成できた。今後は立体視と実物コピーの連携教材に発展させ、職人志望者等に実際に活用してもらい、実際にロクロ成形の練習をしながら本教材を補助的に用いることを想定している。
|