トモシンセシスは一般的なX線CT装置の画像再構成法とは異なり、特殊な再構成法である。このため原理を理解することは教育上とても重要なことである。また教育機関においては設置されていない施設も存在する。そのような教育機関においては、学内実験において実際にトモシンセシスの画像を再構成することができない。そこで本研究の目的はトモシンセシスが設置されていない施設においても、その原理および諸特性を把握することが可能な簡易的な教育用シミュレーションツールを構築することである。申請当初は、平成25年度から27年度の3年間を予定していたが、諸事情のため、昨年度、期間延長を申請し承認を得た。これまでの概要を以下に記す。初年度は本学に設置しているトモシンセシス装置のジオメトリを計測し、プログラム化を行い実際の装置から得られた実測値とシミュレーションの結果を比較し、本研究の妥当性の検討を行った。次年度の平成26年度は主に画像再構成アルゴリズムの作成に着手した。作成した画像再構成アルゴリズムは、装置のジオメトリに適応したシフト加算法、フィルタ補正逆投影法、逐次計算を行う画像再構成法である。これらのアルゴリズムのプログラム化を行いシミュレーション結果の妥当性の検討を行ったが逐次計算において大幅な時間を要しこの点が前年度からの問題点となっていた。平成27年度は画像再構成のアルゴリズムの改良とGUIを用いたいツールの構築を試みていたが、諸事情が重なり、研究への着手が困難となり大幅な遅れが生じた。最終年度は、GUIを使ったツールの構築と計算時間の改善について着手したが、既存の画像サイズのままでは大幅な計算時間を要するためデータの縮小化を行い実行することとした。データの縮小化を行ってもトモシンセシスの原理および特性の把握に影響を及ぼすことはないため今のところ問題がないと考えている。現在はまとめ作業を行っている。
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