研究課題/領域番号 |
25350348
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
新藤 義昭 日本工業大学, 工学部, 教授 (40265369)
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研究分担者 |
松田 洋 日本工業大学, 工学部, 准教授 (00275843)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 実写マッピング技法 / 理科仮想実験システム / CG映像シナリオ記述言語 / 3D立体視映像教材 / 統合映像制作環境 / 人間型ソフトウェアロボット |
研究概要 |
人間型ソフトウェアロボットを用いた理科仮想実験システムの提示映像の臨場感を向上させるため、CGアニメーションの舞台や小道具の中に、実写映像を融合させる新たな映像制作技法として、実写マッピングと名付けた融合技法の開発を大きな目標とした。実写マッピングは、従来のCG映像と実写映像の合成技術とは異なり、CG技術で作り出した3次元形状モデルに、直接実写映像を再生する機能を持たせた画期的な技法である。小道具の形状を変形させると、実写映像も同期して変形する。現在までに、実写マッピングを実現するCGエンジンの開発は予定通り進んでいる。この技法を用いて、理科仮想実験システムの臨場感向上のために必須であった、従来は制作に多大なコスを要した映像(燃える炎、沸騰する液体、はじける火花、激しい化学反応、爆発、風に揺れる花々など)を実験教材の中に組み込むことに成功した。特に、気体の発生実験における炎、液体の中の気泡の動きや水溶液の沸騰などの映像の臨場感向上に大きく貢献した。この機能を組み込んだ理科仮想実験システムを用いて、実際に中学校で実験授業を行った。また簡単な手順で実写マッピングを用いた映像教材を制作することができる統合映像制作環境とスクリプト言語の開発も達成した。さらに高校生を対象とした統合映像制作環境を用いたCGアニメーション制作実験を高校生80名を対象に行い、システムの評価を行った。また、飛出し型の3D立体視機能を映像教材に組み込むためのCGエンジンの開発と、実際に立体眼鏡を用いた飛出し型立体映像を用いた映像提示システムも開発した。同時に、3D立体視が、対象となる中学生や高校生にどのような影響があるかを検査するソフトウェアの開発も行い、実際に約120名の中高生を対象とした実験を行った。そのデータをもとに、視差調製機能や移動速度制限機能を理科仮想実験システムの中に組み込んでいく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実写マッピング技法に必要なアーキテクチャの設計を行い、それを実現するCGエンジンの開発に成功した。この技法を用いた理科仮想実験システムの試作を行い、この試作システムを用いて実際に中学校で理科仮想実験授業を行い、システムの評価を行った。また、3D立体視技術を用いて映像教材を提示するためのCGエンジンの開発も行った。この3D立体視エンジンを用いた3D立体視映像教材が、中学生や高校生にどのような影響を与えるかという調査実験も行い、3D立体視映像教材を利用する際の利用範囲や適正視差の許容範囲や映像の動作速度制限を設定する基礎情報の収集も行った。
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今後の研究の推進方策 |
開発した技法を組み込んだ化学や物理の理科仮想実験システムを多数開発し、実際に中学校で実験授業を行って評価分析を行い、システムに改良を加えていく予定である。また、元となる実写映像の取得技法についても、カメラの選定や小型のスタジオボックスの開発などを検討していく予定である。また、3D立体視機能をもつ教材映像の開発を進め、少しづつ理科仮想実験の中に取り入れ、その効果と影響を考察する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、基盤となるソフトウェアの開発に主力を注いだため、必要な消耗資材やソフトウェアの購入経費を優先した。このため旅費があまり残らず、今期の国際会議の渡航費に割り当てられなかった。この旅費残金は、来年度に繰り越して使用する予定である。 今年度の旅費残金と合わせて、来期の国際会議等での研究発表の渡航費として使用する予定である。
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