本研究は、留学生の出身国における法制度や情報倫理意識をもとに、各教育単元にウェイト付けすることで、学習のプライオリティを決定し、より効果的な情報倫理教育を行うことを可能とする多言語教育教材の作成を目的としている。 本教材の作成に当たっては、それぞれ異なる出身国の留学生に対して、育った環境や文化的な差異から生じる理解のバラつきに対応するために、アジア各国におけるアンケート調査で判明した各国の特性より導き出された重点学習項目ごとに、必要に応じて学習順序に優先順位をつけ、さらに、スムーズに理解させるための出身国別の加筆部分を加えることで、より効果的な教育の実現を目的としている。同時に、それぞれの出身国に対応した多言語化WBT教材として作成しているが、単なる多言語化にとどまらず、留学生にとって理解が難しい教育単元については、より詳細な解説を表示することで、理解を容易にする工夫を施している。加えて、対応個所の日本語翻訳版と比較することで、難解な法律用語の日本語表現も同時に学習することを可能にしている。 開発作業については、平成26年度に完成を目指してきた中国語バージョンの作成の遅れがそれ以降の進捗に大きく影響し、27年度もその作業が続いてしまい、英語バージョンの完成が28年度にずれこんでしまった。また、それに伴いハングル語バージョンの開発に大幅に遅れが生じてしまった。そのため、28年度を研究の最終年度と予定していたが、最終年度を29年度に1年延期することで教材の一応の完成を見ることができ、国際学会での発表も関連する内容で実施することができた。しかし、海外での検証作業については間に合わず今後の課題と考えている。
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