研究課題/領域番号 |
25350352
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
寺尾 敦 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (40374714)
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研究分担者 |
伊藤 一成 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (20406812)
宮治 裕 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (30255236)
飯島 泰裕 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (50262548)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | eラーニング / デジタル教材 / デジタル教科書 / MathML / Moodle / STACK / HTML5 |
研究概要 |
本研究の目的は,デジタル教材の技術,教材のデザイン,学習者の特性と行動を研究することにより,深い学習を支援できるデジタル教材の開発と運用の原理を明らかにすることである.深い学習を支援するために,どのような手法で,どのようなデジタル教材をデザインし,その教材をどのように学習すればよいかに関する知見をもたらす. 初年度の研究は,研究実施計画に従って,すでに開発に着手していたウェブ教材の開発を続けるところからスタートさせた.このウェブ教材は,われわれの学部で開講されている初等的な数学系科目の学習を支援するために開発しているものであり,授業で扱われている学習事項の解説と,問題演習から構成されている.学習事項の解説は,数式マークアップ言語であるMathMLを利用可能な,HTML5を用いて作成している.問題演習のシステムは,eラーニングシステム Moodle の小テストモジュールとして開発された,STACKを用いている. 高校数学レベルの幾何ベクトルを解説した教材を用いて,授業を補完する教材としての有用性に焦点を当てた評価を行った(評価実験そのものは数年前に実施したものであったが,実験結果を整理していなかった).学部1年生4名が,すでに授業で学習した内容について,ウェブ教材での学習を改めて行った.学生は,ウェブ教材での学習により,理解が進展したと評価した.学生はまた,他の学習事項について同様のウェブ教材が提供されれば,それを使用したいと回答した.わずか4名の学生による評価ではあるが,開発している教材の有用性が示唆されたと考える. 授業を補完するウェブ教材の有用性が示唆されたので,高校レベルの微分・積分を教える科目の学習を補助するウェブ教材の開発に着手した.15回の講義のうち,最初の1回についての教材がほぼ完成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高校レベルの微分・積分を扱う15回の講義のうち,5回ほどの講義については教材を完成させ,評価実験を行う予定であった.しかし,現状でほぼ完成しているのは講義1回分であり,この授業のための教材を用いた評価実験を行うまでに至っていない.講義を担当している数学教員が1回の講義で配布している資料はA3サイズ1枚であり,これをもとに教材を作成するのにそれほど時間は要しないだろうと考えていた.しかし,実際には HTML のソースは3,000行以上にもなり,解説教材の作成にかなりの時間を要してしまった.問題演習のシステムに利用している STACK のバージョンが上がり,新しいバージョンでの教材作成に手間取ったことも,研究がやや遅れた原因である.
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今後の研究の推進方策 |
高校レベルの微分・積分を扱う数学科目のための自習教材を,評価実験を行うことが可能な程度まで,急ぎ開発を進める.ユーザによる教材評価は,教材の使いやすさと,授業を補完する教材としての有用性に焦点を当てる.ユーザの主観的な使用感の評価だけでなく,学習効果をあわせて検討する. 研究実施計画で述べていた,タブレットやスマートフォンへの対応は,解説教材については問題のないことが確認できた.問題演習システムについては対応を検討する必要がある. 解説教材の HTML ソースを書くことにかなりの時間を要することがわかったので,学生アルバイトの活用を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費・謝金の支出がなかったこと,問題演習システムを運用している Moodle サーバの管理費用を科研費以外の学内予算で支払うことができたのが,次年度使用額が生じた主な理由である. 教材の評価実験を行い,実験参加者に適正な謝金を支払う.教材開発を行う学生アルバイトが確保できた時には,時間給計算で謝金を支払う. Moodle サーバの管理費用を科研費から支出する必要がなくなった分の金額については,物品費あるいは旅費にまわす.
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