研究実績の概要 |
数学オンラインテストシステムの一つである STACK (System for Teaching and Assessment using Computer algebra Kernel) の,テスト用の問題を共有するシステム Mathbank を構築した。Mathbank の構築にあたっては,3段階のフェーズを経て完成している。フェーズ1では,Mathbank にアカウントを持つユーザが,STACK の問題を登録(アップロード),利用(ダウンロード)することができる,問題バンクとしての機能を実現した。現在,約 200 題の問題が蓄積されている。フェーズ2では,Mathbank にアカウントを持たないユーザでも蓄積された問題を練習問題として解くこともでき,受験データを蓄積することのできる仕組みを導入した。フェーズ3では,蓄積された受験データを元にして,項目反応理論を利用することによる,問題の難易度を定期的に自動更新することのできる機能を追加した。このうち,平成 27 年度はフェーズ3の内容を実施した。
なお, 項目応答理論のモデルとしては, pj = 1/(1+exp(-(θ-bj))) で表わされるラッシュモデル( 1 パラメータ・ロジスティックモデル)を採用した。ここで, pj は能力パラメータθを持つ学生が, 難易度パラメータ bj の項目(問題)j に正答する確率である。フェーズ 2で蓄積された受験データを元に, 項目ごとに難易度パラメータ bj を推定していく。具体的には, Moodle のプラグインとして開発した「拡張問題バンク」ブロックにより, このラッシュモデルにもとづいて能力パラメータθ, 難易度パラメータ bj が推定される。
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