研究課題/領域番号 |
25350354
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
鄭 仁星 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (90372929)
|
研究分担者 |
佐々木 輝美 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (70235258)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | オープン教育リソース / 質保証 / OER |
研究概要 |
調査段階(2013):大学組織内の教育者がオープン教育リソース(OER)を選択、活用する際に効果的に適用されうる質的指針と教育方法を作成するため(目的1)、オープン教育リソース(OER)活用に関する重要性と実行可能性について尋ねる調査を実施した。この調査方法を用いたのは、本研究における調査課題が、主観的判断を集約することで示唆を得られること、および時間と費用の制限により調査対象者と実際に対面し意見を交わすことが困難であるという理由による。 (1)研究の初期においては、先行研究や先行事例に基づき、研究チームがオープン教育リソース(OER)活用の際に使用できる質的指針と教育方法をまとめたものを作成した。この段階において作成されたものを用いて、それぞれの指針と方法につき、重要性と実行可能性を尋ねる調査票を作成した。 (2)作成された調査票は、4つの地域(アジア、アフリカ、ヨーロッパ, アメリカ)のできるだけ多くの大学教員及びオープン教育リソース(OER)の専門家に送られた。そして、その結果に基づいて、高等教育でのオープン教育リソース(OER)活用に関する質的指標・領域と効果的な指導技術に関する意見を整理した。また、5つの国から各1名ずつのオープン教育リソース(OER)の専門家や活用者に対して、eメールによるインタビューを二度にわたって行った。 (3)最後に、高等教育におけるオープン教育リソース活用に際しての質的指針と教育方法をまとめたものを完成させるため、収集した量的及び質的なデータを解析した。そして、以上の成果に基づき、以下の仮のタイトルのもとに、草案を作成した。仮題目:高等教育用のOER選別のための簡易基準の作成。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主な理由は以下の3点である。1)研究協力者の積極的な協力を得て、予定どおりオンラインサーベイで200名以上の専門家の意見を収集することができた。特に、うち一名はOERネットワークであるMERLOTの重職にあり、MERLOT会員に対してこのサーベイへの協力を働きかけていただくなど多大な協力を得た。2)上記サーベイに加え、本研究に関するエキスパートであると同時に個人的関心を寄せてくれている5名のOER専門家に対して緊密なインタビュー調査を実施した。このことにより、これまで作成してきた質的指針と教育方法に、新たな示唆を得ることができた。3)OER選択・活用時に効果的な質的指針と教育方法についてとりまとめることができ、この研究成果をオンラインジャーナル等で発表する準備がほぼ整った。
|
今後の研究の推進方策 |
検証段階(2014):異なる文化や教育環境における質的指針と教育方法の妥当性と効果を検証するために(目的2)、作成した質的指針と教育方法を実際の教育環境で使用し、データを収集する研究方法を採る。 (1)初年度の成果として得られた、高等教育におけるOERの選択と利用における質的基準、および教授方略を、現場で実際に教育を行っている協力者に応用してもらう。 (2)選択されたオープン教育リソース(OER)を、四つの大学講義(アメリカ, アフリカ、アジア - マレーシア、日本の大学)に取り入れ、作成した教育方法を応用しつつ、様々な指導形式(講義、協同学習、紙媒体での自己学習、オンライン環境など)において使用する。 (3)オープン教育リソース(OER)活用における効果についてのデータは、教育者と学習者に対するインタビュー、そして教育者の観察ノートを通じて収集する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
国際会議への参加に係る費用を計上していたが、調査の実施が予想以上に時間がかかり、調査結果の発表が難しくなったため、国際会議への参加を取りやめた。また、英文のネイティヴチェックに係る費用を計上していたが、調査は終了したものの、2013年度内に調査結果を英語でまとめる段階まで進まなかったので、英文ネイティヴチェックの費用が未使用になった。 未使用分は、2013年度の調査で得られた結果がOERの選択と活用にどのように役立つか、アメリカの専門家の協力者を訪問してケーススタディーを行う。また、2013年度の調査結果を英語でまとめた原稿のネイティヴチェックを依頼する。
|