GeoGebraは世界で広く使われている数学教材作成ツールであり,特に動的幾何学と数式処理に長けている.本研究では,中等教育の数学教材のツールとしてのGeoGebraのありようについて調査研究を行い,かつ広いコミュニティを募りながら,GeoGebraを使った電子教材の実例を提供し,かつGeoGebraに機能を追加する提案を行うことを目標とする. 現状の中等教育に携わる教員がGeoGebraを初めて手にして,最初の教材を作りそれをインターネット上にアップロードするためにどの程度の知識・スキルが必要であるかを調査・研究した。この成果として,入門的な日本語によるマニュアルを作成し,実際にサイト(http://www.aharalab.sakura.ne.jp/geogebra/index.php)において公開した。この成果はそののち,中等教育の教員から支持を得て,数学の電子教材におけるGeoGebraの利用価値の高さを証明した。これらの結果についてはRIMS研究集会「数学ソフトウェアとその効果的教育利用に関する研究」において「GeoGebraの日本語教材の単元別整理とサイト公開について」というタイトルで,また統計数理研究所共同研究「動的幾何学ソフトウェアGeoGebraの整備と普及」において「GeoGebra日本語教材のデータサイトの整備と普及」というタイトルで講演を行った。 また明治大学先端数理研究科の原知己氏とRIMS研究集会「数学ソフトウェアとその効果的教育利用に関する研究」において「GeoGebraによる説明と例題の交互の提示によるスライド教材とその作成の簡易化」というタイトルで講演した。ここではJavaScriptを利用したGeoGebraの拡張機能を用いて,効果的な解説・例題の2画面教材の可能性を提示し,かつこのような教材を容易に作成するツールの開発について説明した。これらの講演に伴い,関連研究者との議論を活発に行った。
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