e-ラーニングでは、教授者は時間的にも空間的にも学習中の反応をリアルタイムで捉えることが難しく、きめ細かな教育を行うことは不可能に近いと思われる。Web教育においても対面授業と同等以上の効率化を図るためには、学習者の理解状況を把握し、適切にアドバイスしたり、教材を選定することが重要であるが、その方法は確立されていない。 そこで本研究では、目の動き、特に瞬きと瞳孔の大きさの変化に着目し、集中度と理解度の予測を行うことを目的とした。まず、瞬き頻度と集中度については、集中時には瞬きの頻度が減少し、途切れるときに瞬きの頻度が上昇する、ことを確かめた。さらに、瞳孔径の変化が快・不快と連動し、理解度と繋がりがあることを見出した。瞬きの頻度や瞳孔径の変化を自動的に計測することは、家庭で用いている機器では比較的難しく、当初は赤外照明や暗視カメラなど特殊な装置を用いたが、実際に運用する場合不可能なので、一般的な機器環境でのシステム構築を検討した。 瞬きの検出は1回の瞬きが2~3フレームと少ないため半眼状態のものも存在するので、ある程度の閾値の下で瞬きが行われたと判断することにした。これによって、ほぼ全ての瞬きを検出できるようになった。また、瞳孔径については、当初瞳孔が円形であることを利用して、濃度差でエッジ検出し、円近似で求めようとしたが、目の画像が小さいため瞳孔画像が円近似では不可能であった。そこで虹彩部分を円近似し、中心付近を二値化して、ドット数で面積を計測し、径を求めることにした。その結果、瞳孔径の変化が数値的に捉えられるようになった。しかし、環境光の影響で必ずしも正確ではないため、偏光フィルタで環境光の影響を抑え、閾値でカバーする方法を採択することで比較的精度の高い瞳孔径計測が可能となった。しかし、処理速度の問題が残り、これをクリアしない限り実用には堪えられないと考えている。
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