研究課題/領域番号 |
25350362
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
岸 磨貴子 明治大学, 国際日本学部, 特任講師 (80581686)
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研究分担者 |
宮田 義郎 中京大学, 工学部, 教授 (00239419)
今野 貴之 目白大学, 社会学部, 助教 (70632602)
久保田 賢一 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80268325)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 米国 / セネガル / インド |
研究概要 |
本研究の目的は、高等教育におけるICTを活用した海外との越境学習の環境デザインの要件を提示することである。本研究では、ロミゾウスキーが示す「教授による学習」「プロジェクトによる学習」「ワークショップによる学習」「意図的でない学習」の4つの形態による実践研究を行い、それぞれの特徴を考慮した学習環境デザインを検討する。今年度は、それぞれの実践研究において次のような研究業績を得ることができた。 a)教授による学習「米国の学生との日本語会話演習の実践」:日本語教師を目指す日本人学生が、ハワイの日本語学習者に対して日本語会話を指導する実践研究を行った。この実践を経験学習の理論的枠組みから事例を分析し、ICTを活用した海外との「教授による学習」のための学習環境の要件を明らかにした。 b)プロジェクトによる学習「西アフリカと連携した協働実践」:西アフリカと連携した参加型写真展の事例を調査した。西アフリカ関係者と連携し、ICTを活用した双方向のコミュニケーションに基づいた参加型の写真展を実施し、その評価を行った。 c)ワークショップによる学習「インドとの遠隔ワークショップの実践」:ワークショップによる学習の実施を来年度に予定している。今年度は、連携するインドの学校を訪問し、実践内容や方法を取り決めるなど準備した。また、2013年8月と2014年2月に2回、連携先とテレビ会議を通して交流を持ち、ICTを用いたワークショップのパイロット調査を行った。 d)意図的ではない学習「世界数カ国と連携したアートプロジェクト」:World Museum Projectでの協同制作による実践の参与観察データの分析により、実践デザインモデル 「Create/Connect /Open」の妥当性が確認できた。これらの成果を踏まえ前述のデザインモデルによりデザインしたプロジェクトを継続して実践した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は、越境学習に関する国内外の先行事例・先行研究の文献調査を行い、状況的学習論に基づいた学習環境デザインについて整理した。具体的には、ICTを活用した海外との越境学習の事例を、越境、インターネット心理学、状況間移動、Computer Mediated Communication、アフォーダンス、メディアリテラシー、社会的存在などのキーワードを軸に分析しその特徴を整理した。加えて、ICTを活用した海外との越境学習の実践をロミゾウスキー(Romiszouski 1981)の分類に基づいて研究またはそのための準備を行った。具体的には、「教授による学習」「プロジェクトによる学習」 「ワークショップによる学習」「意図的でない学習」の形態にわけ、3名の共同研究者がそれぞれを担当し、調査を行った。 さらに、今年度、ヨルダンのMiddle East Universityやヨルダンにいる大学生らと連携した実践を新たに計画した。具体的には、Middle East Universityの学生らと共同で映像を制作したり、シリア問題について考え行動していくプロジェクト型の実践を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究も、共同研究者がそれぞれを担当し進めていく予定である。本研究の実践の4つの形態(「教授による学習」「プロジェクトによる学習」 「ワークショップによる学習」「意図的でない学習」)のうち、「教授による学習」については、研究知見をまとめることができたため、継続実践として、時差のない国内の教育機関(山形大学)と連携し、本研究知見をもとに「教授による学習」形態に基づいた実践を予定している。 また、新たに計画をしているヨルダンとのプロジェクト学習も引き続き準備を進め、来年度に実践予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では、調査・研究のため米国(ハワイ)への渡航予算を計上していたが、連携先のハワイ大学カピオラニコミュニティカレッジの共同研究者が来日したため、予定していた研究打ち合わせおよびデータ分析を国内で完了することができた。米国渡航のための予算は、本研究の実践研究のひとつ「ICTを活用したプロジェクト型の越境学習」として、新たにヨルダンと連携したすることになったため、ヨルダンへの渡航費として執行した。調査・研究のための渡航先の変更により、予算執行額の差額が生じた。 調査・研究のための渡航先の変更により生じた予算については、研究成果発表のための旅費として執行する予定である。新たにヨルダンと連携した実践研究について、日本教育工学会または日本教育メディア学会にて発表するための旅費とする。
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