研究課題/領域番号 |
25350362
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
岸 磨貴子 明治大学, 国際日本学部, 特任准教授 (80581686)
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研究分担者 |
宮田 義郎 中京大学, 工学部, 教授 (00239419)
今野 貴之 明星大学, 教育学部, 助教 (70632602)
久保田 賢一 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80268325)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 情報通信技術 / 異文化間協働 / 異文化間教育 / 越境的学習 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,25・26年度に実施した4つの形態による実践研究の知見をもとに,ICTを活用した越境学習の特徴,理論的考察,課題と展望について共同研究者と議論し整理した.4つの形態とはロミゾウスキーの分類による「教授による学習」「プロジェクトによる学習」「ワークショップによる学習」「意図的ではない学習」である. 第一に,「ICTを活用した越境学習の特徴」を 協働的な学習,情意に働きかける学習,問いを中心とした探究学習,越境する学習の4つの観点から整理し,異文化間教育学会監修の『異文化間教育学大系第4巻』第3章3節「ICTを活用した新たな実践の試み」にまとめた. 次に「理論的考察」に関して,事例をいくつかの理論的枠組みから捉え,ICTを活用した越境学習においてどのような学びが起こっているかについてインタビューや観察を通して定性的データを収集・分析し考察した.具体的には,対話的自己理論,状況的学習論,活動理論を理論的視座とした.また,研究のアプローチとして,諏訪らが提唱する一人称研究に基づき,教員の語りをもとにICTを活用した授業設計のポイントを整理し,学会および研究会で発表した. 「課題と展望」については4つの形態を比較検討し明らかにした.「教授による学習」では,教員が教育目標および内容を規定し「うまくいく」ようにデザインするため,授業という制限の中で完了することができる一方で,越境学習において学習のリソースとなる葛藤が起こりにくい.他の形態では,学習者は「うまくいかない」葛藤経験を通して協働的な価値創出の活動を生み出すことがあるが,予期せぬ出来事や新たな展開に対して教員と学習者が即興的かつ拡張的にそのための環境を創造することが求められ,教員の負担となりうることが分かった.外部人材はそのような教員の負担軽減だけではなく新たな環境の一部となりうるため,今後は外部人材の役割に着目して研究を行う.
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