研究課題/領域番号 |
25350365
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
椎名 広光 岡山理科大学, 総合情報学部, 准教授 (40299178)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 単語難易度推定 / 学習システム / VOD学習 / 言語処理 / 情報システム |
研究概要 |
本年度は、①e-learning講義で利用されているVOD講義の発話で使用されている単語のやさしい表現への変換、②日本語の単語難易度の推定、③中国語の単語難易度の推定、④日中の単語難易度を利用した単語学習システムの開発を行った。 ①のやさしい表現への変換については、字幕の単語を日本語能力試験の試験区分で簡単なグレードに置き換えるシステムで、対象字幕の動詞21.72%に対して日本語能力試験の1,2級を3,4級に換言できたのは46.2%で、1,2級から同一級への換言を含めると78.2%であった。また、人手によるやさしい表現への換言評価としては、級が下がった単語についてはどの評価者においても90%以上の成功率が見られている。同一級への換言を含めた場合は、少し下がって、68~77%の成功率であった。むしろ難しくなったと評価されたのは6~21%となっている.②の日本語の単語難易度の推定では、これまで辞書の意味記述を利用していたが、Web検索で記述量が平均的な記事を取得しその記事中に現れる周辺単語分布から単語難易度を推定する手法を開発した。辞書データのみを利用した場合の精度53.6%であったが、Webデータを利用した場合では60.0%に精度が向上した。③の中国語単語難易度は、②の日本語単語難易度の辞書データを利用する手法を中国語に置き換えた手法である。④の日中単語学習システムでは単語の選択問題をお互いの難易度の同程度のものから生成するシステムで、タブレットコンピュータ上に実装を行った。また、単語学習を日本語の単語の問題に中国語の単語を選択して学習する手法、中国語の単語の問題に日本語の単語を選択して学習する手法、それらを続けて学習するだけでなくお互いの単語の問題を交互に学習する仕組みを導入し、交互に学習する手法では、より高い学習効果が得られることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単語の難易度については、精度向上の課題があるが、複数言語へ適用が可能となり、講義で使用されている単語を、母語が違う学生からも評価できる基盤ができたと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
VOD講義の発話とスライド情報との関係を推定する講義理解をサポートするシステムを開発し、その中で講義スライドから講義で説明する学習項目を抽出を行い、学習者に学習項目を明確化しその項目を記述させるような復習用のシステムを作成する予定である。 また、単語の難易度推定については、サポートベクタマシンで学習する仕組みを改善することで、推定精度の向上をはかりたい。精度向上の別手法としては、辞書データの各言語の辞書だけでなく日中辞書、中日辞書も含めて利用する予定である。そのほか、同じ意味の単語の日中英間の相違について調査を行う予定である。また、漢字語圏と非漢字語圏の違いについて特に調査したいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
計画段階ではAndroidタブレット型コンピュータでの実装を想定していたが、Webアプリケーションとして開発が容易なWindowsタブレットコンピュータの導入を検討し購入を見送ったため。また、Webから情報を収集するサーバコンピュータの無停電電源装置の購入を、サーバの実際の運用にあわせるため購入に遅れが生じたため。 Windowsタブレット型コンピュータと無停電源装置を購入する。
|