現在,わが国では,「ICTを利用した学校教育・生涯教育の環境の整備」が進められている。そこでは,ICTを活用することで,「子どもたち同士が教え合い学び合う協働的な学び」の実現を目指している。また,「情報教育」を通して,すべての子どもたちに,単なる「情報活用力」を超えた「情報の本質を理解する力」の必要性が叫ばれている。本研究では,「情報や情報技術の本質」を学ぶことに重点を置いた教育を支援するため,様々な最新の情報通信技術(ハードウェアもソフトウェアも)を活用した「協働的な学び」を促進する学習環境の構築を目指す。 最終年度にあたる本年度は,初等・中等教育向けのプログラミング入門教育を対象として,「プログラムの制御構造」の概念をできるかぎり直感的に理解するための学習支援システムを開発した。さらに,多様なITデバイスを利用した,幅広い学習を支援するシステムの開発にも取り組み,「3Dカメラを利用した英語学習支援システム」,「3次元入力デバイスを利用した空間図形認識力向上システム」,「視線追跡デバイスを利用した自動解説システム」のプロトタイプを完成させた。また,非情報系の企業技術者向けに,簡単な電子工作とプログラミングを組み合わせたフィジカルコンピューティング教材を開発した。 この他,教師向けの講義支援システムとして,「プロジェクションマッピングを利用したフリップボードシステム」,「デジタルペンのストロークデータを利用した自動板書システム」のプロトタイプを構築した。そして,本システムの有効性を確認するため,教育現場における試行実験を実施するとともに,様々な教科の担当教員へアンケート調査を実施することで,新機能の追加や使い勝手の向上に取り組んでいる。
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