中谷宇吉郎について、次の点を調査した。a) 凍上に関しどのような研究を行なったか、b) アメリカのTVA計画をどのように評価し、戦後日本の復興にどう活用しようとしたか、c) 日本が1957年に南極観測を開始するにあたり、その態勢づくりにどのように関わったか、d) 氷に関する中谷の研究は、いかなる意味で、またどの程度まで「軍事研究」だったのか。 これらの調査結果に基づき、これまでとは違う中谷宇吉郎の姿を明るみに出した。中谷は、自然の神秘に魅せられた純粋な基礎科学者というよりも、社会的な問題に強い関心をもち、政治家や財界人とも交流する、きわめて「世俗的な」研究者だった。
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