2011年3月11日の東日本大震災以後、科学者の社会的責任と科学コミュニケーションが重なり合う領域において、新たな問題が提起された。震災直後の専門家からの発信はユニークボイス(統一見解)であるべきか、それとも時々刻々と変化する状況をできるだけ早く国民に伝えるべきかという問題である。「ユニークボイス」ではなく「意見の分布」を公開する必要性の他、「科学者」の専門領域の違い、専門家間の架橋と責任論の扱い、「市民」とひとくくりにすることの功罪(住んでいる地域の差、コミュニティの差、個人差)などが今後の助言の課題として得られた。
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