本研究では、アメリカ合衆国における優生学運動と断種政策の歴史を検証した。どのような人々がどのような根拠に基づいて誰によって生殖に「不適」と見なされるようになったのか、それは歴史的にどのように変化してきたのかを、その時々の政治的・経済的・社会的状況及び医療技術の発達に位置付けて検討した。そして、福祉の拡大が政府による市民の身体への介入を増加させること、生殖に適した市民とそうでない市民の境界線はその時々の社会的状況によって変化してきたが、その根底にある生殖の適性という思想は失われていないことを明らかにした。
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