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2014 年度 実施状況報告書

初期近代における解剖学の成立過程と動物・ヒト

研究課題

研究課題/領域番号 25350386
研究機関順天堂大学

研究代表者

澤井 直  順天堂大学, 医学部, 助教 (40407268)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードルネサンス医学 / 生理学の起源 / シルヴィウス / フェルネル / マッサ
研究実績の概要

26年度は主に二つのテーマについて研究を行った。
第一に16世紀における医学の下位区分についての分析を行った。特に「physiologia」という分野の扱いについて詳細に検討した。最初に先行研究において「physiologia」と冠された分野の起源についての論じられ方を調査した。16世紀半ばにJ.フェルネルが使用した「physiologia」が現代の生理学に続くという見方でほぼ一致していたが、フェルネルの著作・研究自体が現代の生理学とは大きく異なっているという意見も多数あった。近年の研究では、「physiologia」はガレノスが医学を諸分野に分類した際に用いられた用語であり、フェルネルがそれを使用することで一つの学問分野を指す名称として広まったという見解が示されていた。
上記の二次文献の調査を踏まえ、前年に扱ったイァコブス・シルヴィウスにおける医学諸分野の位置づけをシルヴィウスの著作から分析した。その結果、フェルネルよりも前にシルヴィウスは医学の一分野に対し「physiologia」を使用していること、フェルネルとシルヴィウスはパリ大学の同僚であり、シルヴィウスからフェルネルへ影響があった可能性が高いことが分かった。またシルヴィウスの影響力を同時代の文献から、当時はフェルネルよりもシルヴィウスの方が医学者・医学教育者として影響力を持っていたことも明らかになった。
第二に、N.マッサというヴェネツィアの医学者を比較の対象として、シルヴィウスの活動の特徴を調査した。現時点では、ギリシア語原典に基づくギリシア医学の再生という動機から医学の変革を構想することが16世紀の多くの医学者に見られるが、シルヴィウスは解剖や治療の実践と古典の医学とを結びつけることに腐心し、当時の医学生が理解可能であるということを最優先にしていた点に大きな違いがあると推察される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請時には16世紀の骨についての記述を網羅的に調査を終えているはずであったが、骨を扱う学問そのものの枠組みが現在とは大きく異なっていることが分かり、その枠組についての調査を優先させているため、やや遅れている。

今後の研究の推進方策

達成度についてはやや遅れているとしたが、骨についての記述の調査・情報収集は継続的に行ってきた。今年度は骨についての記述のデータベースを作成し、16世紀における解剖観察による骨に関する情報の変化、あるいは研究者間での情報の交換、そして情報の交換の結果としての情報の変化について明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

購入を予定していた書籍2冊が出版元に在庫がなく、入手できなかったため。

次年度使用額の使用計画

入手予定だった2冊については、海外の古書店で在庫を探し、次年度に購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ニコラス・マッサの解剖学―権威と新知見の両立2015

    • 著者名/発表者名
      澤井直
    • 学会等名
      日本医史学会
    • 発表場所
      日本綿業倶楽部
    • 年月日
      2015-04-25 – 2015-04-26

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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