研究課題/領域番号 |
25350391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
守屋 豊人 北海道大学, 文学研究科, 助教 (60396273)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | トビニタイ文化 / 焼失住居址 / 炭化材 / 樹種識別 / 住居建築材 / 材質分析 / 古環境 |
研究概要 |
平成25年度は、北海道東部(太平洋側・オホーツク側)の各遺跡で発見された焼失住居址を分析対象として、各焼失住居址から出土した炭化材の観察、試料採取をおこない、樹種識別(一部)を実施した。また、各焼失住居址の発掘調査時における記録図面を借用、分析して、各炭化材をその出土状態から垂木などの建築材として位置づけた。加えて、焼失住居址から出土した炭化材の一部について、年代測定をおこなった。 1.釧路市幣舞2遺跡の焼失住居址5基(第4号住居、第5号住居、第30号住居、第53号住居、第55号住居)、同市材木町5遺跡の焼失住居址1基(第30号住居)から発見された炭化材を現地において試料採取した。また、斜里町須藤遺跡の焼失住居址2基で発見された炭化材から試料採取した。 2.各焼失住居址出土炭化材から採取した試料のうち、幣舞2遺跡の第53号住居址の試料20点、第55号住居址の試料3点、材木町5遺跡第30号住居址の試料37点を垂木および竈内の燃料材として位置づけ、樹種識別を実施した。11世紀から12世紀に位置づけられる各焼失住居址では、幣舞2遺跡第53号住居址でヤナギ属、モミ属が垂木として利用された可能性、幣舞2遺跡第55号住居址ではカバノキ属、コナラ属が燃料材として利用された点、材木町5遺跡第30号住居址ではコナラ属が垂木として利用されていたことが推測できた。 3.各焼失住居址出土の炭化した木質試料のうち、須藤遺跡第2号住居では1点(結果:15世紀後半~17世紀)、幣舞2遺跡第4号住居址では1点(結果:10世紀後半~11世紀前半)、同遺跡第53号住居址では1点(結果:11世紀前半~12前半)の計3点を年代測定した。計3点の内、幣舞2遺跡の2点は焼失住居址から発見された土器の型式学的位置づけと符合したが、須藤遺跡第2号住居では、発見された土器の型式学的な位置づけと年代測定値とに差異がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料採取を効果的に実施できているため。
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今後の研究の推進方策 |
分析対象として設定していた焼失住居址出土炭化材(斜里町須藤遺跡第15号竪穴など)の残存状態が不良であるとわかり、そのため、標津町の遺跡における、研究対象時期の焼失住居址について確認し、その住居址から発見された炭化材を分析対象として樹種識別する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額」の2,917円は表記の上では平成26年3月31日までに使用していないも のとなっているが、実質的には平成26年3月中に請求したものが、会計上平成26年4月 (平成26年度)の処理となったものである。 上記理由のとおり平成26年3月の請求に従い、平成26年4月に会計処理済みである。
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