本研究は甑炉について、過去に行われていた木炭燃焼操業における炉内雰囲気と銑鉄の溶解の特徴を明らかにした。 木炭燃焼甑炉による銑の溶解は、炉上部の温度を1300℃より高く維持し、炉底の温度を1150℃近傍にまで高めてから銑片を溶解することが重要である。そのためには送風が炉底の方に流れるよう上甑の開口部を煉瓦等で狭めることが有効である。炉上部の雰囲気は鉄が酸化する状態であり、これがリンや硫黄などの不純物の還元と溶銑への溶解を防止している。炉底の温度は溶銑により熱が供給されて昇温し、湯返しをすることにより鋳造に必要な1300℃近い温度が得られる。
|