縄文時代にはすでに植物栽培技術が存在したと示唆されていることから、家畜化の起源を探ることはますます重要となっている。そこで、本研究では古病理学的アプローチから家畜化現象を探ることを目的として、基礎的研究を行うこととした。 遺跡イノシシと現生の野生・飼育イノシシの歯周病を調査した結果、歯槽膿漏は家畜化の特徴と指摘する見方は再考の必要があることを明らかにした。また、外傷や古病理痕が顕著な古代犬の一事例を調査した結果、狩猟用、食用、愛玩用の利用法とは異なり、歯の咬耗や外傷に人為的影響を想定させる利用法が存在した可能性も明らかにした。
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