研究課題/領域番号 |
25350402
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
尾久土 正己 和歌山大学, 観光学部, 教授 (90362855)
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研究分担者 |
吉住 千亜紀 和歌山大学, 観光学部, 特任助教 (70516442)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドーム映像 / 超臨場感映像 |
研究概要 |
今年度は、全天映像の特徴を理解するために、サンプル映像を使って、学内のドームスクリーンに投影し、その中での被験者の視聴行動を観察した。最初の実験では、高野山を含むドーム映像の中から典型的なシーンを選び、その映像をどのように視聴するか測定した。測定には耳かけカメラを用い、頭部の動きを被験者のおよその視線とした。その結果、被験者によって、ドームスクリーン上での視線の動きは異なり、真後ろを含めて、スクリーン全体を鑑賞する人から、通常のテレビを見るように前方だけに視線を固定して鑑賞している人までいた。また、カメラを固定して撮影したシーンと、カメラを前方に移動しながら撮影したシーンでは、固定したシーンの方が視線を大きく動かす人が多かった。このように、通常のテレビ映像と違い、人により、シーンにより、視聴行動が異なることが明らかになった。また、臨場感など、ドーム映像についての評価をしてもらったところ、視線を大きく動かす人の方がほとんど動かさない人に比べて明らかに高い評価をしていた。これは、顔を動かすことで、視聴行動が能動的になり、それが臨場感につながるものと考えられる。 次に、実際のフィールドでの視聴行動とドーム内での視聴行動を比較するために、フィールドでの視線を同じく耳かけカメラを用いて測定した。実験の結果、人々は初めて訪問するフィールドでは視線が大きく左右、そして上方向に動き、同じフィールドでも帰り道になると(既知の場所になると)、視線は前方向や、下方向に集まる傾向があることが明らかになった。これは、未知の興味のある対象に対して、人は新しい発見を求めて視線を大きく動かしていることだと考えられ、未知の対象に対しては、通常のテレビ映像より、方向を特定しないドーム映像が向いていることを意味している。 なお、以上のドーム映像の基礎的研究と並行して有形無形の文化財の撮影実験も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は日食を用いて、ダイナミックレンジの広い映像の撮影と投影の手法について実験を行う予定であったが、天候に恵まれずレンジの広い映像が取得できなかったために、高野山や粉河寺などの映像を用いて、ドーム映像そのものの特徴を明らかにする実験に力を入れた。その結果、ドーム映像について多くの特徴が明らかになり、次年度以降の高野山での撮影やコンテンツ制作において有用な情報を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で明らかになったドーム映像の特徴を活かした映像の撮影、コンテンツの編集を行う。同時に、8Kを越える超高解像度の映像においても、昨年度の実験である4K映像と同じように扱えるか、超高解像度のデジカメを用いて同様の実験を行いたい。
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