永久凍土分布確率図の作成と検証: モンゴルの永久凍土帯に展開した約100地点での定常的な深層地温観測、夏季に移動観測によって得た約100地点での1m深度地温を集約し、永久凍土の有無を多地点で判定した。これを結果変数として、地形(斜面方位・傾斜・凹凸)、可能日射量、緯度などを説明変数として、両変数間の関係を多変量ロジスティック回帰分析によって推定し統計的に有意なモデルを導いた。このモデルによって同国の永久凍土分布を、確率論的に示すとともに、その精度をピンゴ、構造土といった永久凍土存在の指標地形や湧水などの分布、過去に実施した多点地温観測や物理探査(比抵抗電気探査)などの結果と併せて確認した。さらに、リモートセンシングによって得られ公開されているMODIS地表面温度分布とも比較し、永久凍土分布確率図の精度を多面的に検証した。
成果の公表: 平成27年度には、上記成果のうち、ピンゴの分布に関わる部分を論文として取りまとめ、Permafrost and Periglacial Processes誌に投稿し受理された。また、ボアホールによる深層地温観測の結果も取りまとめ、同誌にまもなく投稿する予定である。他に小規模な国内研究集会でもこれらの成果を公表した。海外でも、モンゴル科学アカデミーが主催するウランバートルでの研究発表会で公表した。オスロ大に所属する研究協力者とは適宜連絡を取り合い、今後も更に研究を発展させるべく、新たなファンドをノルウェー政府から獲得した。
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