これまでの成果によって、大雪山の風衝地では、1755m付近には存在する可能性が高いことが判明した。そこで27年度には、この地点で永久凍土の基底を越えることを目標としたボーリングを行った。またこのボーリング孔を利用して地温観測装置を設置した。これまでの大雪山での掘削は最深で10mであったが、今回10.6mとより深い深度まで達することができた。しかし、この地点の地質が含水率の低い安山岩の基盤であり掘削時の温度撹乱の影響を受けたため、2015年秋の段階では、永久凍土の基底にまで達した否かは不明である。今後の地温データの回収を待って明らかにされる。 またこれまでに記録計を設置した地点の地温データ、気温データの回収、および解析を行った。1670m地点では、2014年10月から2015年9月までの1年間の平均地温は氷点を上回り、永久凍土の存在する可能性は低いことが判った。この期間の平均気温は0℃であった。また気温、地温の標高に対する逓減率が約1700m付近を境にして、これより上で小さく、下で大きくなることが判明した。 泥炭質の永久凍土丘であるパルサ分布地域において、あるパルサが崩壊した。このパルサは衰退過程にあり、近年縮を続けてきたが、27年にはついに消滅した。ここでは崩壊以前から地温観測を行っており、パルサの衰退過程が地温変化から捉えることが出来た。 小径の掘削孔でも多点の地温観測が可能な多深度地温測定装置の開発を行ってきたが、27年度には改良を加え、装置のセンサー部を小型化し、記録部を省電力化した。
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