最終年実施したTRTの解析から,深度約10mの地中熱交換器を使用した場合,本地域において,地下水面深度の変動により,浅層地盤の熱交換量に大きな影響を与えたと考えられた。そのため,浅層地盤における熱交換量は季節性を有することが示された。 また,浅層地盤における地中熱利用では,鋼管製地中熱交換器を用いている。そこで,鋼管製地中熱交換器が地下環境で硫化水素の存在により腐食が起き得るかどうか評価するために,硫化水素の測定も実施した。その結果,硫化水素は検出されなかった。 さらに,本研究で対象にした深度10m程の浅層地盤では,恒温層を確認することはできなかったので,最終年度に深度20mの観測孔を設置して観測した結果,本地域では恒温層は深度約17m以深に存在することが明らかになった。
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