研究課題/領域番号 |
25350421
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
斉藤 享治 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60170495)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 沖積扇状地 / 巨大扇状地 / 河成扇状地 / 集水域面積 / 扇面面積 |
研究実績の概要 |
日本の河成扇状地は沖積扇状地として世界的にほぼ再確認されたので,その再確認を確実にするため,前年度と同様に,より多くの地域において河成扇状地の集水域面積と扇面面積の関係式を得ることとした。このため,ベトナムおよびパナマの5万分の1地形図を購入し,面積2km2以上の扇状地の収集をした。 また,河成扇状地は安定大陸において,沖積扇状地は変動帯において一般に発達しやすいという考えもあるので,安定大陸のデータを加えて,安定大陸と変動帯の扇状地の存否・分布に対する9因子(集水域面積,山間盆地の面積,起伏比,集水域地質,火山の有無,気候条件,堆積場,起伏量,断層の有無)の関与の度合を判別分析によって求めた。その結果,扇状地の存在に対して,とくに有利な条件は,起伏量2200m以上,気候条件が温暖湿潤気候や亜寒帯湿潤気候であること,堆積場が平野や盆地であること,断層が渓谷を横切っていること,6.3%以上の起伏比であることが明らかになった。一方,とくに不利な条件は,気候条件が熱帯雨林気候,熱帯モンスーン・サバナ気候であること,3982km2以上の集水域面積であること,堆積場が外海・内湾であること,1400m未満の起伏量,面積100km2以上の山間盆地の存在となっている。カテゴリーの値で判断した扇状地の存否に対しては,起伏量,気候条件,起伏比の順に関与している。カテゴリーに含まれる個体数も考慮した扇状地の分布に対しては,堆積場が強く関与し,ついで気候条件と起伏量が関与していることが明らかになった。 以上のことから,安定大陸のデータを加えることにより,扇状地の存否・分布に対する起伏量や起伏比の関与の度合が高まることが分かった。集水域面積と扇面面積の関係式について考察する際にも,それらの因子を考慮する必要があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
巨大扇状地と沖積扇状地とを区分するための集水域面積と扇面面積の関係式について,ベトナムおよびパナマにおいて扇状地の収集を終えたので,集水域面積と扇面面積を求めることにより,関係式を求められることになった。また,エルサルバドルおよびホンジュラスの扇状地についても,2km2以上の面積の扇状地を収集していることから,計画はおおむね順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には,ベトナム,パナマ,エルサルバドルおよびホンジュラスの面積2km2以上の扇状地について,集水域面積と扇面面積の関係式を求める。またインドネシアの地形図を購入し,扇状地を収集するとともに,集水域面積と扇面面積の関係式を求める。 平成27年度が計画の最終年度なので,各地の集水域面積と扇面面積との関係式と,巨大扇状地の集水域面積と扇面面積の位置がどのような関係になっているのかまとめ,河成扇状地と巨大扇状地の区分方法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ニカラグアとグアテマラの未購入の5万分の1地形図を購入する予定であったが,入手が難しく,購入しなかったため。また,平成26年度から副学長になり,現地調査の出張が困難となり,旅費を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度も副学長であり,現地調査のための旅費使用が困難である。そのような状況なので,地図作業での事例研究を増やすため,インドネシアの5万分の1地形図を購入する。
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