研究課題/領域番号 |
25350425
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
榊原 保志 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (90273060)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 局地気候 / 山風 / 都市気候 |
研究実績の概要 |
■谷口付近の地上気圧と隣接する山の頂上気圧の差における気圧差の時系列変化:高精度デジタル気圧計2台を用いた15分インターバル連続観測を5月から12月にかけて実施した.隣接する山の頂上気圧を一般場の気圧変化と考え,気圧差の変化は盆地大気に流入した冷気の重さによる変化と仮定した.気圧差は日没後時間の経過とともに増大した日がほとんどであった.気圧差そのものの大きさ,および気圧差の増加量は曇天日より晴天日の方が大きい.気温が高いほど気圧差の絶対値は小さくなる. ■谷口付近のグランドにおける総合気象観測装置による地上気温,風向風速の10分インターバルの継続観測:気温は気圧差と逆位相で推移し,晴天日における気温と気圧差の間には強い相関が見られた.日没後4時間の平均風速値から日の出前4時間の平均風速を引いた値が正であり,かつ日没後に風速のピークがある日を冷気流上空吹走日,またそうでない日を冷気流上空非吹走日とした.冷気流上空吹走日において,風向風速と気圧差の相関は,特に晴天日には認められない. ■谷口付近から長野市市街地にかけての盆地底における,夜間気温,風向・風速,気圧の分布:自転車および自動車による移動観測を晴天日に10回実施した.①気温分布:谷口に近い市街地北西部が低温部になり,そこから低温域が市街地のある東側に向かって張り出している.市街地北東部の市街地域に高温部がいつも認められた.②風向・風速分布:市街地西部では西風が吹いていた.冷気流上空非吹走日は地上風速が強くなり,長野県庁付近に強風軸が見られたが,冷気流上空吹走日にはこの強風軸は不明瞭であった.③海面校正気圧分布:冷気流上空非吹走日において北西から南東方向に向かって気圧が低くなる傾向が見られ,等圧線が市街地にある長野駅方向に大きく張り出していた.冷気流上空吹走日はその傾向が見られなかった
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定された主たる観測項目は行うことができた.結果についても中間発表を日本地理学会で行うことができた.
|
今後の研究の推進方策 |
■風の道のモデルの仮説の検証のための追加観測の実施 盆地底部にある山風が吹き当たる部分に都市群があまりない地域で観測を実施する. その結果と比べ,モデルの修正や風の道利用の効果を検討する.領域気象モデルWRFで今回得られた結果の再現を試みる. ■2016年に北京で開催されるThe 33rd International Geographical Congressに参加するための準備として,原稿の執筆を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
2016年に北京で第33回IGC(国際地理学連合)の国際会議が開催される.そこで発表するため,研究最終年度の2015年において研究期間延長を申請することにした.それに伴い,2015年(次年度)中に大会参加の申し込みを行い,大会参加費を支出し,さらに出張旅費などの予算を残す計画としため.
|
次年度使用額の使用計画 |
上記会議のための出張旅費,プロシーディング代などの予算については、次年度使用額と平成27年度請求額を併せて支出する。
|