研究課題/領域番号 |
25350427
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松多 信尚 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (40578697)
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研究分担者 |
鷺谷 威 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (50362299)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 変動地形学 / 神城地震断層 / 水準測量 / 糸静線 / 阿寺断層 / 古地震調査 |
研究実績の概要 |
当該年度は3つの成果を得た。第一に中部横ずれ断層帯の阿寺断層は、根尾谷断層や跡津川断層と異なり、横ずれ成分の運動が乏しい断層とされてきた阿寺断層において、初年度からGPSの連続観測を行っており、測地学的なデータが蓄積された。その結果、阿寺断層周辺の地殻変動は東北地方太平洋沖地震の影響や南海トラフの沈み込み帯の影響があるものの、これら広域の変動を取り除くと、優位に左横ずれ成分を有することが明らかになった。これは、活断層を駆動する歪の蓄積が長期間に定常的に蓄積している可能性を示すもので、阿寺断層に現在歪の蓄積が認められないことをもとにたてた本研究課題の仮説である、活断層周辺の歪蓄積が時間的に不均質だとする考えが、前提から覆される可能性を示す。第二は台東縦谷断層における水準測量を行うことで、クリープ断層末端部での歪の蓄積についての基礎データを取得した。当該年度はクリープ運動を平面だけでなく、断面方向でもより深くの変位分布を把握するために、玉里、瑞穂、鶴岡で測量を行った。その結果、断層末端部でのクリープ運動の経年変化を観測した。第三は神城断層末端部で2014年神城断層地震時に出現した地表地震断層の末端部付近において、長期間の変位量の分布と活動履歴と2014年の変位量分布から、この周辺の歪蓄積と解放の関係を明らかにするために、森上付近でピット掘削調査を実施した。その結果、活動履歴に関して、昨年度実施したトレンチ調査ではわからなかった、数千年間の活動履歴を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地表地震断層が出現したことで研究対象のウェートが変化しているが、内容的にはおおむね順調だと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は下記の調査について重点的に進めていく予定である。
①神城断層:地表地震断層の分布と活断層の分布の違いと、それぞれのトレースの古地震履歴の差から、活断層末端部における振る舞いを考察する。②阿寺断層、跡津川断層の横ずれ変位量分布を作成を継続し、測地測量結果と比較分析する。③台東縦谷断層のクリープ運動と変位量のパターンの比較を行い、地震による変位と地震を起こさない変位との分離を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していた、跡津川調査が実行できなかったためと、神城調査で炭素資料が予定より得られなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は神城断層、跡津川断層において重点調査を実施する。
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