研究課題
活断層によらない地表変形は非地震性の変形、地表に変形を及ぼさない地震を伴う変形、固有地震より一回り小さな地震を伴う変形が連続的に存在すると考えられる。それらの地震の違いを明らかにする目的で、活断層で発生する固有地震より一回り小さな地震であるが地表に変位を及ぼした地震である2014年神城断層地震を重点的に調査した。この変形には地表地震断層の実変位量分布が必要であり、その作成を行うための極浅層反射法地震探査を行うとともに、対応する長期の変位速度分布作成のための段丘の年代値測定、地表地震断層部での古地震の大きさを知るためのトレンチ掘削調査、GPSによる地殻変動測定を行った。特に地表地震断層を横切る4測線(塩島測線・大出北測線・大出南測線・ウイング21測線)において実施したS波極浅層反射法地震探査では地表地震断層の東傾斜の形状が明らかとなった。本年度の調査を受けて、糸魚川静岡構造線活断層系北部の神城断層は、変位量と活断層範囲の異なる複数の地震のタイプが存在し、それらが一部では同じ活断層部でずれ、一部では異なる活断層を活動させることが明らかとなった。活動範囲や変位量の違いと地表地震が出現する位置との関係およびその要因については今後の課題となる。また、地震を起こすエネルギーが一様に活断層に蓄積するわけではなく、地震間でも蓄積する時期と蓄積しない時期があることを明らかにするために行ってきた阿寺断層の測地観測では、従来測地学的な変位はほとんどないとされてきた阿寺断層でも、稠密なGPS観測を行ったことで断層を横断して変位が認められ、ひずみの蓄積があることが明らかとなった。
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Earth, Planets and Space
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