研究課題/領域番号 |
25350428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
後藤 秀昭 広島大学, 文学研究科, 准教授 (40323183)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 活断層 / 変位地形 / 地理情報システム / 数値標高モデル |
研究概要 |
本研究は、詳細な数値標高モデル(DEM)から作成される実体視可能なステレオ画像を変動地形研究で本格的に利用するとともに,それを用いた研究の展開を図ることを目的としている。具体的にはDEMから作成したステレオ画像を用いて地形判読を行い,全国の平野部の活断層分布の刷新を試みる。また、GISでの演算により断層変位前のDEMを作成し、それを用いて実体視可能なステレオ画像の作成を行うことで,三次元で観察可能な形で変位地形を過去に遡って復元しようとしている。 本年度は,まず,国土地理院の基盤地図情報として整備・公開されている5mメッシュのDEMをすべて取得・整理するとともに,今後の作業に適したファイルに変換した。これを用いて西日本を中心に過高感を強めたステレオ画像(アナグリフ)を作成した。 上記の作業で作成されたステレオ画像を用いて活断層地形判読を行い,既存の活断層地図との違いを検討した。作成したステレオ画像と「日本の活断層」「詳細活断層デジタルマップ」「都市圏活断層図」など既存の活断層地図とをGISで重ねあわせ,網羅的・系統的に地形判読を行い,筑紫平野,砺波平野,讃岐平野などにおいて変位地形を新たに見出した。 一方,5m間隔よりも微細な変位地形を捉えるため,撮影年代の古い空中写真や現地で撮影した写真を材料にして,Structure from Mortionの理論を利用した3Dモデル作成ソフトを使用して数値標高モデルを作成する方法について検討した。また,国際会議(IGC Kyoto 2013)や国際ワークショップ(「高解像度地形データの地震研究への応用ワークショップ」)でなどで発表,参加することで,最新の情報を得るとともに国内外の研究者と意見を交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は交付申請時に記した計画に沿ってほぼ計画どおりに遂行されており,成果は国内外の学術大会で発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に整備したDEMを用いて,平野部すべてのステレオ画像を作成し,活断層地形判読を行い,既存の活断層地図との違いを検討する。作成したステレオ画像と既存の活断層地図とをGISで重ねあわせ,網羅的・系統的に地形判読を行い,全国の平野部の微小な活断層の検討を行う。 また,ステレオ判読による変位量測定法について検討する。DEMをGISで演算することで変位基準である段丘面の変位前の地形モデルを作成する。これをステレオ画像にして地形判読を行い,その整合性について判定する。この作業を試行錯誤的に繰り返し,変位前の合理的な地形が作られるように検討する。 5mメッシュDEMでは測定に十分でない場合には,Structure from Mortionを利用したソフトを使用してDEMを作成し,その精度を検証した上,分析に用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
詳細な数値標高モデルを公開している国土地理院のwebサイトが大幅に補強,改変され,データの取得や変換にかかる時間が大幅に縮小し,謝金が予想以上に少なく済んだ。 また,空中写真から測量する方法については,SfMと呼ばれる新技術が開発され,地形学の分野に急激に普及し始めた。これまでのように専門の航空測量会社に依頼する必要がなくなった。そこで,専門業者に依頼する代わりに,SfMでの解析が可能な機材等の整備を開始した。 SfMでの解析が可能な機材等を引き続き整備する。
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