研究課題
本研究は、詳細な数値標高モデル(DEM)から作成される実体視可能なステレオ画像を変動地形研究で本格的に利用するとともに、それを用いた研究の展開を図ることを目的とする。具体的にはDEMから作成したステレオ画像を用いて地形判読を行い、全国の平野部の活断層分布の刷新を試みる。また、人工改変前の地形モデルを作成し、それを用いて実体視可能なステレオ画像の作成を行うことで、三次元で観察可能な高解像度な変位地形を作成し、合理的な変位基準から客観的な変位量を測定する方法の検討を行うものである。今年度は、陸海を統合した日本全国の地形アナグリフ(後藤、2014)を用いて、変動地形学的な地形判読を行った結果、新規に活断層の認定された場所について個別に報告を行った(Goto, 2015など)。特に砺波平野では、平野を縦断する変動地形を新たに認め、現地調査や地下構造探査記録に基づいて高岡断層と命名して2万5000分の1都市圏活断層図「高岡」として図示、解説した(後藤ほか、2015a;2015b)。また、関東平野では、立川断層および綾瀬川断層の分布を記載するとともに、左横ずれしている可能性について検討した(後藤、2015)。その他、下総台地において新たに変動地形を認定し、千葉断層系と命名した(日本地理学会2016年春季大会)。この断層系は隆起軸が複雑に交わる付近から、東京湾北縁断層の隆起側にかけて右ステップしながら断続的に認められる。変形様式が変化する場所付近に発達した裂け断層か、東京湾北縁断層の左横ずれ断層に伴う変位と考えられる。一方、人工改変前の地形の復元については、海成段丘の変位・変形が新たに認められた沖縄本島の辺戸岬周辺を対象に数値表層モデルを作成し,変動地形を検討した(後藤,2015)。その際,精度,効率性から考えて,国土基本図がモデルの作成において貴重な地理情報であることがわかった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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