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2014 年度 実施状況報告書

高精度DEMの地形プロセス解析による河川上流域からの土砂供給の定量的評価・予測

研究課題

研究課題/領域番号 25350429
研究機関九州大学

研究代表者

池見 洋明  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90380576)

研究分担者 三谷 泰浩  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20301343)
黒木 貴一  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40325436)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード地形プロセス / 高精度デジタル標高モデル / 地形変化 / 地理情報システム
研究実績の概要

[1] 「河川の土砂量の調査・評価」 (a) 渓流堆積物の量や粒度と表層水の状況を把握するため,水文地質調査を行った.堆積物はGPSとレーザ計測計により面的に評価した.また渓流堆積物の分布は,表層水の水質や流量にも影響するため,河川水の流量、電気伝導度、pHの測定を継続的に行った.その結果,昨年度,実施したプロセスモデルによる地形の解析結果であるD/K値,現地で確認できた相対的な土砂量,河川の流量との間に概ね相関関係が確認できた.b) 砂防ダムの堆砂は、上流からの土砂供給の相対量を示していると考え,砂防ダムの堆砂状況の調査を実施した.しかし,対象地域の砂防ダムは,満砂状態の場合が多く、この手法により,土砂の時間的な供給量の情報は得るのは困難であると判断された.
[2] 「斜面安定解析・同位体組成分析による土砂供給源の解明」 (a) 3次元斜面安定解析により,不安定な斜面の分布を評価するため,2つの調査流域から斜面を選定して,土層厚さの測定を行った.斜面の選定は,過去の斜面崩壊実績や地形勾配,植生などから地理情報システムを用いて行った.土層厚さ分布の計測は、斜面を数mのメッシュに区切り、簡易コーン貫入試験機を用いて面的に実施した.まだ,十分なデータ量は得ていないので,本年度も継続して土層厚さの測定を実施する. (b) 堆積物中からの石英の抽出と放射性起源のベリリウム同位体10Beの測定を行った.堆積物サンプルは斜面および河床より採取した.採取したサンプルは,粒度ごとに選別し,フッ酸を用いて化学的に処理して,雲母や長石等を取り除き,石英のみを抽出した.石英は、フッ酸と硝酸の混合液で溶解,蒸発乾固させて,塩酸で再度溶解させる.この溶液からイオン交換で,ベリリウムを抽出して,加熱し酸化させた.今年度は,この酸化ベリリウムの10Be組成について,日本原子力開発研究機構のペレトロン年代測定装置を用いて測定を継続する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度,予定した2項目のうち,河川の流量等の計測は27年度も継続して行うが,河川の土砂量の計測・評価は概ね完了した.その中で,砂防ダムの調査からは,良好なデータは得られていないが,これは想定の範囲内と考えている.
一方,斜面安定解析・同位体組成分析による土砂供給源の解明については,土層厚さ,ベリリウム同位体ともに27年度も継続して行う予定としており,完了に至っていない.しかし,これまで概ね良好な結果を得ており,予定の7割は完了したと判断している.

今後の研究の推進方策

以下の内容を実施し,地形のプロセスモデルによる解析から山地流域における土砂動態を定量的に評価・予測する手法を検討する.
[1] 「26年度の課題の継続」(a) 調査流域の河川の流量,化学組成等の調査・観測を継続して行って,河川の相対的な土砂量の評価について,その精度・確度の向上を試みる. (b) 斜面の土層厚さの計測個所を増やし,地形と土層厚さとの関係をより定量的に求める. (c) 堆積物試料から酸化ベリリウムの抽出を完了したサンプルに対して,ペレトロン年代測定装置を用いて,同位体分析を実施する.
[2] 「土層発達シミュレーションによる斜面の土層の3次元分布の算出」土層厚さ分布およびベリリウム同位体から土層の生成速度を算出し,土層発達シミュレーション(Heimsath et al., 2001; 池見ほか, 2012)により調査流域の土層厚さの3次元分布を求める.このモデルでは土層の生成速度は厚さに反比例して指数関数的に減少し、土の移動は地形勾配と比例する.このときの比例定数は、土層の生成速度や現地調査による土層の厚さと地形勾配との面的な関係から求めることができる.
[3] 「3次元斜面安定解析による土砂供給源となる不安定斜面の抽出」申請者らが開発した3次元斜面安定解析(Jia, Ikemi et al., 2011)を用いて、1で求めた土層の3次元分布と高精度DEMから、土砂供給源となる不安定斜面の規模と分布を求める.この安定解析では、既往の斜面の三次元安定計算式(Hovland, 1977など)をベースに,複雑な地形を有する自然斜面から不安定な斜面の「位置」,崩壊が想定されるすべり面「規模」を検出できる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Process-based Topographic Analysis and Hydrological Properties in Temperate Mountainous Catchments2014

    • 著者名/発表者名
      Hiro Ikemi, Hendra Pachri, Yasuhiro Mitani
    • 雑誌名

      Engineering Geology for Society and Territory

      巻: 3 ページ: 331-334

    • DOI

      10.1007/s10064-014-0661-1

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 報告されている河川堆積物の10Be濃度と流域の地形プロセス解析2014

    • 著者名/発表者名
      池見洋明, 山崎絢生,ヘンドラ・パチリ,中西隆之介,三谷泰浩,黒木貴一
    • 学会等名
      日本応用地質学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2014-10-29 – 2014-10-30

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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