津波発生時において民間企業が地域コミュニティの防災活動に参加し、企業の防災担当者が地域コミュニティのリーダも兼ねるなど、民間企業の共助を地域防災に活用する可能性について検討した。 まず、市販の住宅地図(ゼンリン)を用いて大分市の臨海部に立地する民間企業、学校、病院などの704事業所を抽出し、郵送によるアンケート調査(有効回収数209)を行った。アンケート調査の結果、民間企業は防災活動に積極的に取り組む必要性があると考えていることがわかった。 次に、津波の侵入方向を考慮し、避難可能な範囲内で最も高い避難場所を選定し、その避難場所に最も安全に避難できる経路と探索するアルゴリズムを開発した。提案法は、DEM、道路ネットワークデータ、建物データ、水涯線データ、津波高、津波到達時間を用いて実行される。実験では、現状の避難ビルのみを避難場所とした場合では津波到達時間内に避難できず、安全と考えられる建物を避難ビルとすることで津波到達時間内に避難できることがわかった。 さらに、東日本大震災では避難場所での疫病発生によって高齢者をはじめ多くの尊い命が失われたこという現実もあることから、疫病リスクを見積もる研究を開始した。具体的には、疫病リスクを見積もる前の基礎調査として、大分川の大腸菌群、大腸菌、ふん便性大腸菌群、腸球菌の観測を行った。また、これらの細菌の数と土地利用および建物データ、降雨量などとの相関分析も行った。
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