本研究は住宅ローン返済という住宅金融リスク,液状化という都市地震災害リスク,地震災害に寄る住宅喪失リスクなどの現実の居住環境リスクに関する政策分析を実施し,それらの結果を複眼的に眺めつつ政策提言の導出や政策情報の創出を目的としたものである. 平成27年度に刊行した「東日本大震災による液状化被害への家計対応と行政支援」について,平成28年度の日本計画行政学会大会において奨励賞を受賞した.平成28年度は,内閣府経済社会総合研究所防災研究会に参加し,住民基本台帳に基づく人口動態データと,内閣府による南海トラフ巨大地の被害想定データを収集・整理し,ディスカッション・ペーパーとした.又,総務省統計研修所の共同研究制度を利用して,国勢調査個票データを用いた居住地移動の統計分析を実施し,ディスカッション・ペーバーとした.また,居住地移動の統計分析結果を利用したミクロシミュレーションの構築に着手して,統計関連学会連合大会や一橋大学経済研究所研究集会「ミクロデータから見た我が国の社会・経済の実像」で報告する等した. 申請時の研究計画に掲げた研究成果をとりまとめた書籍原稿の作成については,2度の学外のセミナーで進捗を報告し討議する機会を得て,作業を進めている.平成29年度に刊行することに取り組む計画である.
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