研究課題/領域番号 |
25350439
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
諸星 穂積 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10272387)
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研究分担者 |
大山 達雄 政策研究大学院大学, 政策研究科, 特別教授 (30134323)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | OR / シミュレーション |
研究実績の概要 |
前年に引き続き,状態空間モデルに対する準モンテカルロシミュレーションの数値実験および理論的考察を行った.今年度は,同モデルに対する粒子フィルタの構築に関して,混合分布に基づくサンプルの生成という観点から,準乱数の特徴を生かすアルゴリズム開発と実装に関する研究が主な内容となった.具体的には,状態空間モデルにおける逐次的な分布の時間更新の方法を改良したことが主な点である.これまでは,更新分布のサンプルにのみ準乱数を用いて,現時点分布からのサンプリングには擬似乱数もしくは系統サンプリングを使うしかなかったが,新たに,2つのサンプリングを1つの準乱数系列で同時に行うことを可能にするアルゴリズムを考案した.これは,現時点分布の標本空間がもつ幾何学的性質を考慮に入れ,計算幾何学で用いられるアルゴリズムを使ってサンプル点の隣接関係を抽出して,混合分布確率の計算に利用するものである.既存手法のArray-RQMCなどで用いられるソーティングの方法を発展させたものと考えられるが,標本空間の幾何構造を積極的に利用する点に新規性があると考える.アルゴリズムを実装し予備的な数値実験を行ったところ,既存手法と同程度の能力を有することが観察された.これを受けて,より本格的な数値実験をして有効性を確認することと,アルゴリズムにおける計算量の不利な点を改良するべく,引き続き研究を進めている.また同時に理論的面での誤差評価を得るために考察を進めている.同時進行で,学会発表の準備,論文作成などを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しいアルゴリズムの考案を行い,それに対して数値実験で新しい知見が得られたこと,理論的な考察を進められたことなどから,本年度は基礎研究的な側面での進展が多かったと考える.対外的な発表は将来の応用を目指したものが多く,これらに本年度の成果を結び付けていくことが最終年度の課題となろう.本年度の成果はまだ発表できていないが,すでにいくつかの発表予定もあり,おおむね順調な範囲にあると考える.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き実験面,理論面から研究を進めていくが,国内や海外での発表,論文作成などの比重を大きくして,最終成果につなげていきたい.国内外での研究者と,これまでの結果についての意見交換・討論を行い,研究成果の確認と公表を進めたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張に係る旅費が,予定より安価に調達できたため.
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議への旅費参加費にあてる.
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