研究課題/領域番号 |
25350448
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
岡本 東 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (10305310)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 組合せ最適化 / 交配計画 / 世代数 / メタ戦略 |
研究実績の概要 |
交配計画を組合せ最適化問題として定式化した。これに対して,メタ戦略,主に遺伝的アルゴリズム (genetic algorithm; GA) を用いた解法を開発した。交叉には,一般に用いられる順序一致交叉 (partially matched crossover; PMX) を手直しして用いた。実験の結果,準最適化手法の何れを利用するかはあまり重要ではなく,目的関数やヒューリスティックルールの設定の方が重要であることがわかった。 従来の研究で明らかになっている通り,対象の次世代の近交係数のみに着目して最適な交配計画を作成した場合,それ以降の世代で近交係数を低くすることができない解となってしまう。このため,一般にはグループ化やラウンドロビンなど,現実的なヒューリスティックルールが導入されている。これらを導入した方が少ない計算量で良好な解を得ることができる一方,最適性の保障はなく,どの程度の効果が得られているのかも測定しにくい。一方,これらのヒューリスティックルールに頼らずに多世代の最適化を行う場合,何世代先までを考慮するかが問題となる。世代数nとした場合,組合せ数はn乗のオーダになるため,あらかじめ十分に大きめの値をとることは現実的でない。また,何世代目まで計算すれば解として十分であるかを示す指針はない。このため,適応的に世代数を決める手順を提案した。これは,各世代の組合せを単純に並べるだけではなく,直前・直後の世代間は依存関係が強く,離れた世代は依存関係が弱いことを考慮したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画であった,メタ戦略による交配計画問題の近似解法の開発や,各手法の検証など,概ね予定通りに実施した。 しかし,前年度分の遅れの影響もあり,対外発表が1回と,当初計画より少なく,総合的にはやや遅れている。今後,対外発表を進めると共に,交配計画システムの改善等を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
これまで開発した手法および検証結果を元に,交配計画システムの改善を行う。実使用のためには,現在システム外で書類によって管理されている種畜の個体情報のデータ管理をシステム化する必要があるため,この開発も行う。 当初は,従来型のヒューリスティックルールの効果を知る上でも,これらを利用しない全体最適化の手法の開発を構想していたが,これまでの検証においてヒューリスティックルールの効果は当初の想定より大きいことがわかった。このため,これらを排するのではなく,部分的に利用しつつ,計画(解)の改善を行う方向性の解法を中心に実装を行う。ただし,研究計画の段階でシステムに複数の手法を取り入れることは想定しており,計画の変更にはあたらない。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた対外発表より回数が少なくなったことなどによる。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度・当該年度に発表できなかった分の研究成果をまとめ,対外発表を行う。その際の旅費・宿泊費等にあてる。
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