研究課題/領域番号 |
25350452
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
上野 信行 県立広島大学, 経営情報学部, 名誉教授 (50336913)
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研究分担者 |
奥原 浩之 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (40284161)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レジリエンス / 内示生産システム / リスク評価尺度 / 多期間生産計画 / 注文不充足 / シャットダウン / シャープレイ値 / AVaR |
研究実績の概要 |
1.内示生産システムにおける「レジリエンス指標」を提案した。すなわち、注文の不充足による供給不備をリスクととらえ、リスクを計量する2つの指標を考案した。 ①日常的なレジリエンスに対応する(通常の生産状況におけるリスクを考慮した)多期間生産計画用として、従来の「多期間用AVaR」を改良した。②非日常的なレジリエンスに対応する(生産設備のシャットダウンをも考慮した)多期間生産計画用として、「累積リスク評価尺度」を提案した。2つの指標の性質が明らかになるとともに、これらを用いることにより設備シャットダウン時の代替設備や他社への振替え度合が計量可能となった。 2.リスク指標AVaR(Average value-at-risk)をベースに、ゲーム理論における「シャープレイ値」を使って、期別の「危険想定需要量」を推定し、この需要量を賄うための在庫量を確保するという特徴を持つ内示生産計画の効率的な解法を考案した。この解法により決定される生産量の性質が明らかになるとともに、需要に相関がある場合への拡張が可能になった。 3.レジリエンスを含め内示生産システムの分類・体系化案を更新した。 4.精密工学会総合生産システム専門委員会「レジリエントものづくりのための技術とマネジメント小委員会(主査岩田一明)」の成果報告書を共同で作成した。「内示生産システムにおけるリスク評価尺度」の章を担当した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.内示生産システムにおいて①設備のシャットダウンなどのない通常の生産状況の場合②生産設備のシャットダウンをも考慮した場合の多期間生産計画用リスク評価指標が完成した。これらを用いることにより、残業、振替、増産などの生産挽回量の見積もりや他社への振替量の把握が可能になり、レジリエンス向上に資する。 2.AVaRを組み込んだ多期間の生産在庫計画手法を考案し、具体的な生産計画量を算出する方法や特性が明らかになり、レジリエンスを考慮した計画法が提案できた。 3.1,2をベースに、中長期的なレジリエンス向上策を考察する基盤ができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.AVaRとシャープレイ値を組み込んだ多期間の生産在庫計画手法について、従来法との比較、機能高度化を図り、完成度を高める。 2.中長期的なレジリエンス向上策を考察する。内示生産システムを「先行需要情報を利用して社会に必要な生産物を供給する企業間連携における供給システム」とらえ,巨大なリスクが作用した時の対応として、モノづくり企業のリスクの分散化の方策を考察していく。経験的に生み出された企業のリスク対応事例、保険、資金、復旧リードタイムなどの視点から進める。 3.内示生産システムの分類・体系化案を最新化する。 4.研究成果をまとめるとともに、学会などを通じて、成果を公開し、広く周知する
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、数値実験を継続したことによる消耗品の購入、書籍購入に、加えて、①論文の学術誌への掲載②学会出張③調査研究出張などほぼ予定どおりの費用の支出があった。初年度は、既存設備の活用などにより費用の発生が少なかったので、その残余部が次年度に加わることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、予定の活動に加えて、最終年度として学会論文投稿、まとめ報告書、海外発表など成果の公開活動にも注力していく。
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