研究課題/領域番号 |
25350456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
秋葉 知昭 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (60505767)
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研究分担者 |
山本 久志 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (60231677)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多目的ネットワーク / パレート最適 / アルゴリズム / 最適設計 |
研究概要 |
本研究課題はネットワーク構造で表現されるシステムの設計問題,例えば,様々な付加情報を考慮したカーナビゲーションシステムのルート案内や,情報ネットワークにおける最適ルーティング,迅速な情報交換のできる生産情報システムにおける生産物流スケジューリング,インターネットを用いたロジスティクスにおける顧客とサプライヤーのグローバル化に伴う多段階サプライチェーンネットワークなど,現代社会で起こり得る複雑な意思決定・最適化をより的確に説明できる多目的ネットワークの最適化問題に注目する.そしてa)「ネットワークの構造」と「信頼度,流量,及び距離等によるエッジとノードの性能評価基準」とパレート最適解の存在密度との関係を明らかにし,b)最短距離(最短経路)・最大流量・k 点間信頼度などを複数の目的関数とした場合のパレート最適解の統一的な算出方法を提案することで多目的ネットワークの厳密なパレート最適解算出の効率化を図り,大規模な多目的ネットワークの設計評価,及び,新たな近似解法提案への一助となる手法の確立を目的とする. 平成25年度は本研究に役立つ従来研究や他分野での取り組み等「①国内外の文献調査」に基づき,主に2目的関数を有するネットワーク(以下2目的ネットワーク)における全点間信頼度を考慮するネットワークのネットワーク構造と目的関数の値の関係に注目し,パレートフロントを構成しやすい点に着眼した「③エッジ・ノードの優先順位を決定する評価関数の提案」を中心に研究を進めた.また①③の結果を基に解の探索空間を有効に制限することで2目的ネットワークのパレート解探索アルゴリズムの効率化を進めた.加えて,③の成果を基に「②ネットワークの信頼度算出方法」の効率化と「④最短経路・最大流探索方法」に対して考察を行った結果,新たなアプローチが必要ではないかと考えるに至った.この成果を論文1本,発表7件にまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は本研究の取り組みに役立つ従来研究や他分野での取り組み等「①国内外の文献調査」に基づき,報告を1つまとめた.更に,主に2目的ネットワークにおける全点間信頼度を考慮するネットワークのネットワーク構造と目的関数の値の関係に注目してパレートフロントを構成しやすい構造に着眼した「③エッジ・ノードの優先順位を決定する評価関数の提案」を進めた.この結果より,特に全点間信頼度を求める際にエッジとコストの関係に基づくパレートフロンティアを構築する部分ネットワークへの「なりやすさ」が探索空間を制限する有効な制約ルールとなり得る可能性を導いた. また①③の結果を基に解の探索空間を有効に制限することで2目的ネットワークのパレート解探索アルゴリズムの効率化を進めた.これは2目的ネットワークのパレート解の凸特性に注目した手法であり,他の多目的最適化問題へ応用も考慮できる. しかしながら,③の成果を基に「②ネットワークの信頼度算出方法の効率化」と「④最短経路・最大流探索方法」に対して考察を行った結果,新たなアプローチが必要ではないかと考えるに至った. 以上の研究成果を論文1本,発表7件にまとめた. 以上の通り,本年度は研究計画に基づき概ね計画通りに進行していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は平成25年度に取り組んだ全点間信頼度を考慮したネットワークと多状態ネットワークにおける「③エッジ・ノードの優先順位を決定する評価関数の提案」を踏まえ,提案された複数のパレート解導出に有効な探索領域制限方法をより深く考察する.加えて,前年度に取り組めなかった「②ネットワークの信頼度算出方法の効率化」の更なる課題として k 点間信頼度算出方法をはじめとするネットワークの信頼度算出方法の更なる効率化と「④多目的ネットワークの最短経路・最大流探索アルゴリズムの再考」を進め,当初の予定通り,「⑤ k 点間信頼度を考慮した場合の有効な解の探索空間の制限方法の提案」を進める.同時に,多状態ネットワークへの適用を考察し,適用範囲の広い効率化をはかる.そして,多状態ネットワークにおける「⑥最短経路・最大流算出問題の有効な解の探索空間の制限方法」について,主に最短経路問題への効率化提案を進める.「①国内外の文献調査」は,異なる分野における類似の研究調査に幅を広げ,平成26年度も継続する. 最終年度となる平成27年度は,多状態ネットワークにおける「⑥最短経路・最大流算出問題の有効な解の探索空間の制限方法の提案」において,主に高速な最大流算出方法を踏まえたパレート解の効率的な導出方法への展開を進める.ここまでの結果を照らして, k 点間を連結する多目的ネットワークの最短経路・最大流算出問題への拡張と多目的ネットワークのパレート最適解のための統一的な導出方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度発注予定であったノートPC、ワークステーションが性能面と稼働の側面で研究目的に合致するものが無かったため、最小限の購入となった。また研究進行上でネットワーク構造の特性調査に基づく「③エッジ・ノードの優先順位を決定する評価関数の提案」の研究を優先して進めたため、ノートPC、ワークステーションを準備することが急務で無かったため未発注とした. これらは平成26年度初旬に発注予定である。また、予定していた数値実験の方向性を見直し、中大規模ネットワークシステムの評価のためのアルゴリズムを再構築するために、その詳細と特性評価方法を見直し、平成26年度実施する。 旅費については昨年度の国際会議が近距離で開催されたため、当初予定より減じられた。 購入不足分についてはこれらは「② k 点間信頼度算出方法をはじめとするネットワークの信頼度算出方法の効率化」と「④多目的ネットワークの最短経路・最大流探索アルゴリズムの再考」のために平成26年度初旬に発注予定である。また、予定していた数値実験の方向性を見直し、中大規模ネットワークシステムの評価のためのアルゴリズムを再構築するために、その詳細と特性評価方法を見直し平成26年度実施する。また国際会議への参加と論文発表のための支出は増加する予定である。
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