研究課題/領域番号 |
25350457
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
伊呂原 隆 上智大学, 理工学部, 教授 (60308202)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 在庫管理 / 在庫補充方式 / 商品特性 / シミュレーション / 最適化 / 統計手法 |
研究概要 |
平成25年度は,「商品特性」を表す統計量についての検討を行った.具体的には,商品ごとの出荷量,出荷間隔の平均や標準偏差などの統計量に加え,週,月,季節ごとの出荷頻度,その連続性やばらつきなどに関する定量的な評価方法を検討した.また,同時に出荷される商品や同時には出荷されない商品など,商品間の相互依存性が在庫管理に与える影響についても考察した. 提案の有効性を検証するための具体的方法としては,商品ごとに典型的な発注方策である発注点法や定期発注法を適用し,シミュレーションを実行することにより,在庫量,欠品発生回数,発注回数などを求めた.これらの評価尺度は次元が異なるので単純な線形和をとることはできないため,多目的最適化のアプローチや正規化して総合評価値を求める方法などを併用した. ここで,「商品特性」を考慮し新たに考案した出荷統計量とシミュレーションにより求めた総合評価値に対して重回帰分析の応用手法である正準相関分析を適用した.この正準相関分析から得られる正準負荷量を参考にして各出荷統計量の重要度を定義した.注意しなければいけないことは,各商品の出荷傾向の変動に対して頑健な重要度を定義することである.そして,重要度の高い出荷統計量を用いて,クラスタリング手法による商品の分類を行い,各商品に対して発注方策を決定した. ここまでの段階で,従来研究との比較を行い,シミュレーションと多変量解析の手法を中心とした提案手法の学術的な観点からの優位性を検証するとともに,企業との共同研究で得られている実データにも提案手法を適用し,提案手法の頑健性を高めるための工夫を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的ならびにこの目的を年度ごとにブレイクダウンした平成25年度の研究実施計画をおおむね達成していると考えられるため.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究では,前述の通り,発注点法や定期発注法などの古典的な在庫補充方式を利用してきた.しかしながら,数多くの商品の出荷データ(実データ)を解析してみると,需要が正規分布に従っているほうがむしろまれで,需要が全く発生しない日が最も高頻度に発生する間欠需要の状況,マーケティング戦略や商品の輸配送方針などから需要量や需要頻度,さらには発注から納品までのリードタイムが大きな影響を受ける状況などが存在する.このような状況では,商品特性に応じた新たな発注方策が必要となる.本研究では,発注点,発注可能点,補充点,発注量,発注間隔,安全在庫量など,在庫補充方策の主要なパラメータを動的に変動させる新たな方式を提案する.この方式は,初年度に提案する出荷統計量の値に応じて変化させることを考えている.こうすることにより,需要が正規分布に従わない場合や季節変動やイレギュラーな変動を行う商品に対してもきめ細かやな対応が可能となる.また,安全在庫量については,納品日における欠品発生確率に基づいて計算をする古典的な方法ではなく,欠品数量に基づいた計算を行うことにより従来よりも正確な欠品発生コストを考える.このための理論的な平均在庫量と欠品発生量を求めるための研究を進めていく.
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初に予定していた研究補助謝金ならびに研究成果投稿料を支出する必要がなかったため. 当初の予定通り,研究補助謝金ならびに研究成果投稿料の一部として使用したい.
|