研究課題/領域番号 |
25350468
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
伊佐田 百合子 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (00351867)
|
研究分担者 |
井垣 伸子 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (40151253)
伊佐田 文彦 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80387646)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | バイスタンダー / シミュレーション |
研究概要 |
今年度の研究実績は下記の通りである. 1.文献調査と質問票の作成 バイスタンダーによるCPR実施のための施策の効果について分析している文献の調査を行った結果,国内での事例は少ないが,国外にCPRに関する知識とバイスタンダーCPR実施の関係を統計的に分析した研究がいくつか存在することがわかった.これらの文献を基に各国での救急救命訓練とバイスタンダーCPR実施の関係を整理し,質問表作成のための準備を行った.過去に実施されている日本国内のAEDの使用や救命救急に対する意識調査の結果を分析し,また,海外の文献調査の結果を基にして,質問票を設計し,質問票調査を実施するための準備を行った.次年度,Webベースの質問票調査を実施する予定である. 2.バイスタンダーの行動の分析,および人工社会におけるシミュレーション実験環境の構築 バイスタンダーである一般市民による救命処置の実施が院外心停止からの社会復帰率を向上させる上で重要となる.バイスタンダーの行動を分析するための予備的研究として,いじめが発生しているクラスにおけるバイスタンダーの行動を,ゲーム理論を用いて分析した.この結果は,関西学院大学総合政策学部Working Paper No.50として公表した.さらに,バイスタンダーの行動を分析するために人口社会を構築してシミュレーションを行なうための環境を構築した.また,予備的研究として,いじめが発生しているクラスにおけるバイスタンダーの行動をモデル化し,そのシミュレーション実験を実施した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度実施予定であったアンケート調査は,調査方法を変更したこと,過去の類似の調査や国外での類似の調査について調査分析を行ったことから,次年度に実施することとしたが,次年度実施する予定であったシミュレーション実験のための環境構築や,予備的研究を先行して実施し,シミュレーション実験環境の有効性については今年度に検証を終えることができたので,おおむね順調に進んでいるといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,まず,今年度準備した調査票を用いてアンケート調査を実施する.その結果を分析した上で,一般市民による救命処置の実施率を向上させるための対策とその効果について検討する.さらに,救命処置におけるバイスタンダーの行動をモデル化し,シミュレーション実験を行う予定である. AEDの使用が一般市民に認められてから10年が経過したが,その利用がほとんど進んでいない状況がNHKによる調査によって明らかにされた.今後の研究では,AEDの利用やバイスタンダーによるCPRの実施が効果的に行われるための対策を検討し,その効果を検証する予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
質問票調査を実施する予定であったが,これを次年度に実施することとなり,その代わりにシミュレーション環境を構築することになった.このため質問票調査のための費用とシミュレーション環境構築用のソフトウエアの購入費用の差の残額が生じた. 今年度,質問票を作成済みであるので,次年度にそれを用いて調査を実施する.
|