研究課題/領域番号 |
25350475
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
村上 ひとみ 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (10201807)
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研究分担者 |
小山 真紀(田原真紀) 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70462942)
奥村 与志弘 京都大学, 工学研究科, 助教 (80514124)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 津波避難 / 避難訓練 / 南海トラフ地震 / 自転車避難 / 地理的条件 / 避難シミュレーション / 愛知県田原市 / 移動手段選択 |
研究実績の概要 |
南海トラフの地震津波に備える愛知県田原市堀切校区において、自転車を活用した避難訓練を継続していることから、同校区の避難訓練の調査・測定を実施した。避難者のGPSロガー測定や、ビデオ録画、アンケート調査等の分析により、歩行と自転車利用の速度・時間差が明らかになった。避難先と居住地区の地理的条件により、自動車避難への意向が異なり、自転車で代替する効用と課題が示された。 また、2014年4月にチリ国イキケ市でM8の地震が発生し、津波警報が発表されたことから、避難に関するアンケート調査がSATREPSプロジェクトで実施された。そのアンケートデータを活用し、東日本大震災で被災した気仙沼市等のアンケート結果と比較することにより、交通手段の選択条件や車渋滞の危険度についての知見を得た。 個別要素法に基づく避難行動シミュレーションモデルを発展させ,避難開始を促す諸条件を取り入れ、介護者の帰宅行動を考慮し、経路条件の設定自由度を上げ、より自由度の高いシステムに改良した。また、自動車による避難移動と渋滞を表現するサブシステムを作成し、徒歩と車の移動手段への対応を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南海トラフの大津波が推定される愛知県田原市において、避難訓練の計測調査を実施し、地理的条件と併せたその分析により自転車避難のポテンシャルや課題、交通手段選択において車利用の意向とその問題点が明らかになってきている。 チリ国イキケ市での津波避難アンケートを活用し、東日本大震災での避難アンケート結果と比較することで、交通手段選択の影響が示された。 DEM方式による避難シミュレーションモデルの改良により、汎用性が増し、交通手段選択の影響や渋滞を表現することができるようになっている。 こうしたことから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
愛知県田原市堀切校区において、避難手段意向に関する、追加アンケート調査を実施する計画である。その分析をすすめ、過度な車利用を減らす方策について、自主防災会との意見交換会(ワークショップ等)を開催する予定である。自動車避難について、家族の条件として高齢者・乳幼児など災害時要援護者の存在による優先度の考え方を検討する。また、自転車避難の有効性を発信し、平常時から自転車活用を促進する方策を検討する。また、避難シミュレーションを展開し、交通手段選択の影響評価を行い、過度な自動車避難を抑制する訓練計画手法を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果のとりまとめを慎重に行ったことから、学会での成果発表予定が変更となり、次年度使用額が生じました。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表等の旅費に使用予定です。
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