研究課題/領域番号 |
25350476
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
二神 透 愛媛大学, 防災情報研究センター, 准教授 (40229084)
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研究分担者 |
高山 純一 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (90126590)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地震火災 / シミュレータ / リスク・コミュニケーション / 役割合意 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、地震時の火災延焼シミュレーション・システムを開発している。本システムは、国土地理院の国土空間データを活用し、建物ポリゴンデータを用いて、シミュレーションに必要な都市構造データを自動変換するシステムである。よって、全国の市街地の地震火災リスクを再現することができる。本年度は、地震火災から逃げるイメージを高めてもらうために、自宅から避難場所場所までの経路を、マウスで指定し、地震火災と重ねるシミュレータを開発した。 国土空間データは,白地図であるため,航空写真を用いた,背景画像を重ねることによってより地形特性が把握できるようシステムの改良を行った.また、国土地理院の標高データ(DEM)を用いた、地形勾配を2次元上のマップに表示可能なシステムを開発した。よって、起伏がある地域の避難等のイメージを高めることができた。 松山市消防局、連合自主防災会と連携し、2014年に改正された災害対策基本法に位置付けられる、地区防災計画を進めるために、松山消防局各支署単位で、消防職員・連合自主防災会役員・女性消防団・民生委員と、地震火災延焼シミュレータ、避難シミュレータの講習会を実施した。2015年度以降、松山消防局、自主防災会、消防団、愛媛大学が連携し、各地区の地区防災計画の策定に着手する予定である。 開発したシステムを用いて、松山市垣生小学校で講義を行うとともに、アンケートを実施し、シミュレータが子供たちの防災意識に与える影響を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二神・高山は、消防署の地震火災時の活動役割を明確化するために、消防署・松山市の道路幅員・沿道建物状況から、消防車の到着可能確率・時間について分析した。具体的には、地域の火災延焼リスクとを、出火点や風速など、様々なシナリオで時系列で提示した。高山は、消防車の駆けつけ信頼性からみた消防困難地域マップを作成した。本年度は、松山消防局と連携し、松山市の62の連合自主防災会と、上述した消防車の到着時間確率や、開発した地震火災延焼シミュレータを用いて、シミュレータの説明会を実施した。そして、今後、地区防災計をシミュレータを用いて作成するための合意を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後の展開としては、松山市消防局と連携し、各地区における地区防災計画の策定を予定している。松山市の各地区では、地震火災、津波、土砂災害、洪水といった、地区それぞれの災害特性をもっているが、地震火災のリスクの高い地区を対象に開発したシミュレータを地区防災計画の支援システムとして活用し、地域の地区防災計画の策定を行いたいと考えている。 もう一方では、本研究で明らかになった、防災教育へのシミュレータの活用である。本年度は、松山市の垣生小学校のパソコンに地震火災延焼シミュレーション・システムをインストールし、子供たちの活用状況を記録し、個人属性別に分析を行った。それらの結果、活用頻度の高い子供ほど、自助・公助の防災意識が継続することを確認した。今後、県内の小中学校にシステムを導入し、継続的な活用と意識の変化を分析し、効率的な防災教育の在り方を探っていきたいと考えている。そのために、愛媛県の委員会と連携し2015年6月に、東予・中予・南予で行われる、各学校の防災担当者研修会にてシミュレータの防災効果について紹介するとともに、各学校での活用とシミュレータの改良に繋げたいと考えている。 よって、地震火災から命を守るために、行政・住民・学校関係者による地域のルール作りを進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研以外の単年度外部資金が入ったため、旅費と謝金について外部資金で賄ったため、助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度は、最終年であり、地域の防災力を高めるための防災教育のための旅費、防災士との連携のための旅費、シミュレータ開発補助の謝金に充当したいと考えている。
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