研究課題/領域番号 |
25350477
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
タン ジュークイ 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40363395)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 安全情報 / 環境・空間動態解析 / 自己装着カメラ映像 / 特有情報 |
研究概要 |
H25年度は,利用者に装着したカメラを用いて周囲環境を撮影し,得られた映像から背景映像の推定と前景映像を検出する手法を開発し,また,周囲環境にある障害物(静止物体及び移動物体)を検出する手法について研究を行い,以下の成果を挙げた. (1) 背景映像の推定と前景映像の検出に関する研究成果 ― 本研究では,カメラ装着者が歩行しているため,背景の特徴点はカメラの動きにより映像上を移動する.この特徴点群の動きに注目し,① 映像上の上部の特徴点はすべて背景の特徴点とする,② 映像上の特徴点は前景特徴点よりも背景特徴点の方が多い,という2点を仮定し,背景及び前景の検出法の開発を行った.具体的には,Harrisコーナ検出器を用いて周囲環境映像上の特徴点を抽出し,これらの特徴点の推移を表現する特徴量空間を作成する.RANSAC法を用いて,この空間から背景特徴点と前景特徴点を判別する手法を開発した. (2) 静止物体と移動物体の検出に関する研究成果 ― 静止物体の検出法 :上記(1)で得られた背景特徴点の推移量を用いてカメラの運動パラメータを推定し,エピポーラ幾何により特徴点の3次元座標を求め,道路平面を導出する.この道路平面と各特徴点との距離を利用して静止物体検出を行う手法を開発した. 移動物体の検出法:(1)で得られた前景特徴点をクラスタリングすることにより移動物体を検出する手法,及び移動物体が複数ある場合の分割法を開発した. 実環境において,利用者の頭部に小型カメラを装着して撮影した映像を用いて(1),(2)の手法の検証を行い,各手法の有効性を確認した. (3) 成果発表 ― 上記開発した手法と結果を国際会議 IEEE TENCON2014, Int. Conf. on Soft Computing and Intelligence Systems2014 等で発表する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は (1)背景と前景特徴点を検出する手法,(2)背景特徴点を用いた道路平面の導出と静止物体を検出する手法,(3)移動物体を検出する方法,(4)複数移動物体を分割する手法等を開発し,その有効性を実験的に確認したため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は,今後次の点を中心に研究を遂行する. ・静止物体(静止障害物)に特有な情報の抽出と認識を行う手法の開発. ・移動物体(移動障害物)に特有な情報の抽出と認識を行う手法の開発. ・研究成果は展示会や国際会議等で発表する. 特有情報とは,物体の向き,高さ,個数,利用者との距離,物体の名称などである.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究課題はおおむね達成されたが,本研究課題は屋外の実環境を対象とする複雑な映像処理が前提であるため,手法の開発に予定より長い期間を要した.そのため,一部検証実験は行ったが,十分な実験結果を得るための屋外実環境映像データベース構築には至らず,そのための機器購入やデータ収集等のための謝金使用は行わなかった.また国際会議発表は,実験結果が十分に蓄積される平成26年度から行うこととした. H26年度は,H25年度に開発した諸手法の検証,また,静止障害物および移動障害物の特有情報の抽出と認識を遂行するため,次の主な設備が必要となる. 【備品】H25年度に開発した諸手法をまとめた統合システムの構築およびそのアルゴリズム検証を行うため,デスクトップパソコン(1台)を購入する.また,屋外に持ち運べるノートパソコンとカメラ(2組)を購入し,1組は移動物体(移動障害物)のデータ収集及びその関連アルゴリズムの開発,他の1組は静止物体(静止障害物)のデータ収集とその関連アルゴリズムの開発を行う. 【旅費】国内外の学術研究集会で研究成果を発表する予定である.IEEE TENCON(開催場所:バンコック),IEEE Int. Conf. on Image Processing(開催場所:パリ),SICE Annual Conf.(開催場所:札幌)等で発表を計画している. 【謝金】映像取得と映像データベースの作成および実験を行うため,補助者(大学院生)に謝金を支給する.
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