研究課題
平成26年度は,平成25年度に開発した実験システムならびに眼球頭部協調運動のパラメータにより,どの程度処理しなければならない情報量が増加すると精神的負担が増大するのかを脳波信号から得られる事象関連電位P300との比較により明らかにする.さらに,精神的負担を把握する手法が,実際のシステムを運用する上で安全性確保に寄与できるかを明らかにした.申請者の所属機関の既設設備である生体アンプ(NEC三栄)とP300検査プログラム(日本光電)により,脳波信号を記録し,その中から事象関連電位を抽出する.事象関連電位P300は,視覚,聴覚,体性感覚などの刺激種類によらない内因性の成分と考えられ,刺激課題に対する難易度,注意配分,処理の深さ,記銘の強さ,作業集中度を反映するといわれており被験者が処理しなければならない情報量を定量的に把握するのに有用な手段である.次に,申請者の所属機関の既設設備であるドライビングシミュレータ(HONDA)により仮想運転作業中の被験者の精神的負担計測を試みる.ドライビングシミュレータ内の走行コース設定により,走行速度や道路混雑度といった情報量を変化させた際の眼球頭部協調運動の変動をとらえ,これまでの実験結果から作業者に精神的負担が一定値以上かかった場合に警告を促すシステムを構築し,その実用性を実験的に検証した.その結果,眼球・頭部協調運動が自動車運転時のMWL(余裕度)の評価指標になりえるか否かを明らかにするため実験を実施した.その結果,負荷の強度によるものの頭部運動先行確率により簡便に運転作業中のMWLを客観的に評価できることを示唆した.
2: おおむね順調に進展している
課題申請時の実験計画と比較しても予定通り進んでいる.実験の実施のみならず、適宜学会発表等アウトプットも行えていることからおおむね順調であるといえる.
次年度は,本課題の最終年度となるためこれまでの成果をまとめることと学術論文の作成に力を入れる予定である.さらに,これまでの研究でメンタルワークロード(作業者の余裕度)を評価することができる複数の評価指標を提案しているため、これらを複合的に解析することでより作業者の余裕度推定に精度の高い評価方法の構築と検証を行いたいと考えている.
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New Ergonomics Perspective
巻: CRC Press ページ: 267-271
巻: CRC Press ページ: 53-62
巻: CRC Press ページ: 37-42