現在、衰退傾向にある消防団の活性化策を明らかにするため、平成25年度より本研究を実施してきた。その間に、台湾やタイでの現地調査や、国内での現地調査、全国消防本部へのアンケート調査等を実施した。最終年度となる本年度は、今まで収集した調査データのまだ分析しきれていなかった部分の分析や、総合的な分析作業を、学生バイトを用い主に実施した。本研究の総合的なまとめに関する、詳細な分析結果については、今後専門論文等(既に部分的研究成果に関しては随時発表している)で発表していく予定である。なお、本研究においては、代表者及び分担者両名で、海外の現地調査を実施し、共助組織の運用実態の調査を代表者が、法律や制度についての調査を分担者が実施した。また、その都度、研究打合せを行いつつ、研究の取りまとめを代表者中心に行った。 本研究は、主に①わが国の消防団の現状と課題を明らかにすること、また②その活性化策を、国内外の共助組織が活性化している地域の先行事例より明らかにすることを目的としている。消防団の現状調査からは、わが国の消防団が極めて多様性があることが明らかになった。よって、それぞれのパターンごとにきめ細かな解決策が必要であることが明らかになった。また、消防団員へのヒアリング調査では、消防団活動の専門性の高度化を求める声も多く、活動内容のハードルを低くして、団員数を増やそうとする国の施策の方向性と異なる要望も、一定数団内にあることが明らかになった。 具体的な消防団の活性化策としては、市町村の行政職員との連携体制の強化や、自治会や町内会等のコミュニティー組織で自警消防隊を保有している地域は、自警消防隊と消防団の連携強化、消防団の専門性の高度化策、ボランティアバンク、幼年団員制度等、様々な施策が考えられるが、本研究では調査を行った国内外の共助組織の事例から、パターンごとに有効な解決策を明らかにした。
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