研究課題/領域番号 |
25350486
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
池内 淳子 摂南大学, 理工学部, 准教授 (90450254)
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研究分担者 |
福田 幾夫 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50344594)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 病院防災 / 診断システム / 災害対応力 / BCP / 災害訓練 |
研究実績の概要 |
今年度は,災害訓練実施に向けたシナリオの作成を開始した.モデル病院は山形県立中央病院とし、地域防災計画によるハザードの確認、敷地図、病院平面図およびライフライン諸源による災害対応力の確認を行った。また、災害マニュアルに従った病院内外の傷病者搬送の動線確認を行った.病院の災害時シナリオは,東日本大震災の病院事例から事例を抽出し、災害直後からの想定した時間軸に沿って,「どこで」「どのような」状況が発生するかをあてはめ明記した.院内状況は、傷病者の治療スペースともなる1階の共有スペース周辺の状況についての項目が多かったが,手術室との関係性や給水確保に必要となる給水車の動線確保ついても明記できた.また、山形県地域防災計画および山形市地域防災計画を参照し、立地病院のハザードや立地条件等考慮した.山形県立中央病院で実施した災害研修プログラムでは、院内の対策促進に効果があったこと、また、作成した災害訓練シナリオの妥当性も検証した.病院診断指標WEB 版は,病院からの意見も収集しシステム改良を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の2年次(2014年度)達成目標としては、(1)病院診断指標の実病院による検証およびシステム修正、(2)災害訓練シナリオの作成と実病院での検証 (3)研究成果の広報(学会等での発表およびHPでの公開)であった。 (1)については、山形県立中央病院での実施し、病院関係者の意見を基にシステムの修正を行った。修正項目としては診断前から結果が例示されていること、また、システム内の情報の流れを明示すること、であった。また(2)については、2014年10月13日に山形県立中央病院で災害研修を実施し、訓練シナリオを検証した。この訓練シナリオの作成に当たっては、5月から医療関係者との意見交換を重ねたものである。(3)については、地域安全学会および集団災害医学会での発表を行い、HPも随時更新した。以上のことより、本研究の初年度予定はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度には病院診断指標WEB 版を完成させ,研究期間終了後も病院の診断が可能なWEB 環境を整える.診断項目や診断指標の見直しについては将来計画とするが,研究期間終了後も病院の防災力診断結果の収集ツールとしての機能を保ち,データを収集できるようにする. 病院の災害訓練シナリオの作成では,建築模型作成など専門的な技術を使わずに院内の動線確認が可能な汎用性を持った手法の提案を行う.研究計画当初では模型による説明を考えていたが、多くの災害拠点病院では、院内のトリアージエリアの設置に平面図を多用しており、平面図の扱いに慣れていた。そこで、病院が日常で使用している図面をベースに、ベッドや車いす通路幅などの台紙を用いて研修を行っている。よって、最終年度はこれらの試行を基に最終案として提案できるようにする。最終年度には,本応募課題に関する研究報告会の開催や,国内外の学会発表を通じて病院災害対策の優良事例として発信を行う.最終年度で当該ホームページの更新は終了するが,活動結果と病院防災力診断指標WEB 版の公開は継続して行う.
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