静電気災害の出発点とも言える摩擦電気が材料間の接触部分でどのように発生するかに着目し,材料と摩擦速度と帯電特性の関係を詳しく調べることが研究の目的である. 第2年度は,やや計画を修正することになったが,アルゴンガス中での顕著な帯電緩和現象について,帯電過程と放電過程の分離測定の結果からも,マイクロギャップ放電の緩和効果が静電気の減少に寄与していることが明らかとなったため,英国での国際会議で発表し,原著論文をまとめることができた. 最終年度では,第2年度で計画していた帯電に対する摩擦速度の影響を研究したが,ステンレスを用いた実験では,帯電密度にしてみると,速度にほとんど依存していないことが確認できた.接触面積は速度に比例するので,単位時間あたりに発生する静電気量は,速度に比例すると考えて良さそうである.しかし,帯電の緩和についての速度依存性は確認できなかった.これまでの研究では,緩和はマイクロギャップ放電により,放電の頻度は摩擦距離におよそ比例していることが分かっている.したがって,静電気災害の元となる摩擦帯電の単位時間あたりの発生量もおよそ速度に比例することになるはずである. 第2年度で執筆した論文の原稿が受理され,国際誌に掲載された.また,本研究課題での成果は,研究期間終了後となるが,国内学会と国際会議で発表する予定である.
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