研究課題
基盤研究(C)
低頻度大規模噴火の噴火シナリオの作成に向けて,文献調査,学会および研究集会において意見交換を実施した。また,300年間噴火を休止していながらも巨大噴火の発生の可能性のある富士山について,噴火のイベントツリーを試作した。さらに,2014年2月にインドネシア共和国ケルート火山において発生した大噴火について調査を実施しプリニー式噴火と噴煙崩壊型の火砕流について理解を深めた。カルデラ噴火を含む巨大噴火の地質学的前兆(高温溶岩噴出,プリニー式噴火,地すべりや噴砂現象)について複数の文献や未公表報告があるが,それぞれに具体的なタイムスケールが得られていない等シナリオを作る上で課題が残る。富士山については最近になって地質学的報告が相次ぎ,富士山の噴火の頻度や規模についての情報が増えた。これらのデータをコンパイルすると,300年間の宝永噴火は規模からすると飛び抜けており,富士山の噴火史の中では頻度の小さい特異な活動であった。すなわち山頂の南東部にマグマが上昇した場合にのみ珪長質マグマが絡むプリニー式噴火が起こっている。ケルート火山の噴火は爆発指数で4ではあったが,ケルート火山の最近のここ100年間の活動においては最大のものであった。この噴火は,インドネシアの国の観測期間の観測により,2週間前の地震活動活発化による警戒レベルの向上から始まり,振幅の大きい連続微動の開始により90分前に最高レベルの警戒が発動され噴火は予測された。噴火の初期に,6年前に形成された溶岩ドームが破壊され,プリニー式噴火に移行した。ドーム溶岩と今回の噴火の軽石は岩石学的に同一のものであり,ドーム形成が今回の噴火の先行現象のひとつと考えることができる。なお,先行現象のタイムスケールに関して,噴出物を用いての検討は,来年度以降を予定している。
2: おおむね順調に進展している
初年度としてはこれまでの大規模噴火のデータをある程度コンパイルすることができるとともに,インドネシアで25年度に発生した大噴火の調査を実施することができ,先行現象と噴火形態についての情報が得られた。
引き続き低頻度大規模噴火の先行現象について文献調査を継続するとともに,25年度に噴火したインドネシアの噴火の先行現象について岩石学的に検討する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
Earth, Planets and Space
巻: 65 ページ: 475-488
10.5047/eps.2013.03.016
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Journal of Volcanology and Geothermal Research
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