研究課題
(1)大規模噴火の頻度について,より規模の小さい噴火と違いがあるかどうかを,スミソニアンのデータベースを使って検討を行った結果,大規模噴火の頻度はそれ以下の噴火の頻度・規模の関係の延長にあることが確認された。エネルギー的に考えると,大規模噴火が発生するための特別のメカニズムがあるわけではなく,通常の噴火の発生メカニズムの飛び抜けて大きいものが大規模噴火であると考えらえる。(2)大規模噴火の前兆現象が地質岩石学的に捉えられるかどうかについては,共通した明確なものが文献調査では分からなかった。本研究中に発生した,VEI4のケルート2014年噴火は,日本ではここ100年間経験していない大きな規模のものであったが,この噴火を地質岩石学的に予想するのは不可能であった。(3)様々な活火山の過去における噴火シナリオを検討した。その結果,すでに公表されているものを含めて,幾つかのモデル的なイベントツリーが作成できた。噴火シナリオの多様性,特に,爆発的噴火の規模は,マグマの噴出率や上昇速度が基本的にコントロールしている。(4)マグマが噴出する際に,脱ガスを一時的に悪くする条件や,マグマの通り道に地下水が存在するかどうかで多様性が生まれると理解される。すなわち,すでに溶岩ドームなどでふさいでいる場合は,ブルカニアンで噴火が開始する。また,地下水層が発達していれば,水蒸気爆発かマグマ水蒸気爆発隣,火砕サージを伴うことがある。また,マグマ噴出率が高く,噴煙柱が立つ場合に,噴出率低下か火口拡大が起これば,噴煙柱崩壊型火砕流の発生に,溶岩ドームや溶岩流が斜面で重力不安定で崩れれば,崩落型火砕流が発生する。このように条件が整えば起こる付随的な現象を,噴出率の違いで起こる基本的イベントツリーに考慮することによって,多くの噴火シナリオが説明される。
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