研究課題
平成28年度は、年次計画のうち【ア】3次元比抵抗構造モデルの構築【イ】微細構造調査【ウ】InSAR画像解析、【エ】地中温度・熱映像観測を行った。さらに、前年度から実施している【オ】温泉水分析も引き続き行った。【ア】昨年度までに実施したAMT法調査のデータを用いて3次元比抵抗構造モデルを推定した。その結果、2次元解析で推定されたキャップ構造が3次元構造モデルでも検出された。キャップの下の蒸気溜りは【ウ】で検出された地盤変動源の位置と概ね一致した。【イ】地獄谷を横断する2測線(測線長500mおよび測線長300m)において高密度電気探査を実施した。AMT法の解析では一様に低比抵抗として推定されたキャップロックとして解釈された層が不均質な構造を示すことがわかった。【ウ】2007年から2010年の非積雪期に撮像されたALOS衛星のSAR画像を用いた解析の結果、膨張性の地盤変動が検出された。開口シルを仮定したモデルでフィッティングしたところ、主な開口は鍛冶屋地獄周辺直下のごく浅部(深さ50-100m)の局所的な領域に求まり,最大約10cm/yrの開口速度が見積もられた。ALOS-2衛星のデータ解析も行ったが、使用可能なデータが約1年間しかないため、いまのところ有意な変動は得られていない。【エ】熱観測からは、地獄谷の活発な噴気地帯で依然として沸点を超える温度の噴気が出続けていること、活動域が全体的に地獄谷の東~南東側へシフトしていることが推測された。【オ】地獄谷の全ての温泉水の水同位体比は天水との混合線上にきれいに並ぶものの、組成分析からは、昨年度に採取した温泉水で定義したCl, Cl-SO4, SO4の3つのタイプへの明瞭な分類はできなかった。これは、熱水の気相に起源を持つCLタイプの温泉水の温度が低下したためではないかと考えている。
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平成27年度国土地理院調査研究年報
巻: A4-14 ページ: 印刷中
http://www.ksvo.titech.ac.jp/~kanda/contents1.html